にゃんにゃん

題名からお察しの通り、ケモ耳的な猫耳と尻尾が生えるお話。R-15。
大丈夫な方のみ、ご覧ください。
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「今日は猫の日と聞きました。しかし、ワタシだけ猫だなんてどれだけ寂しいか…」

朝7時にセットしておいた目覚まし時計が鳴り、布団から手を伸ばして手探りで空振りしつつもやっとでそれを止めた。
冷たい空気に身をよじらせて、近くにある温もりに腕を回す。
起きなければ、と思うのに、服越しに伝わってくる温かさは俺に安心感を与えてくれて、再び眠りに落ちそうになるけれど、それを堪えて薄っすらと目を開ければ、ふんわりゆるいオレンジがかったクリーム色の髪の毛が見えて目を細めた。
その髪の毛だけであるなら別段珍しいこともないのだけど、その頭から生えているように見えるものがピクピクと動いていたからだ。
寝ぼけた頭でそっとそれに触れれば、撫でるように手を重ねられた。
言葉にならない寝言のようなものが聞こえたかと思うと、閉じられていた睫毛が揺れる。
眠気をうかがわす、それでいて艶のある、とろんとした瞳が俺を見つめた。
「…翔ちゃん、くすぐったいですよぉ」
くすぐったい…?
ただなんとなく感じた違和感と興味で触れたものの正体が知りたくて、握って引っ張ってみた。
「ふにゃあ!」
まるでそれが実際に頭から生えているかのように痛がるから、まだ眠い目を擦って目を凝らした。
目に映るのはカチューシャのようなものもなく、手を放すと勝手に垂れ下がったり、ピクピクと動いたりする…猫のような耳だった。
向こう側には髪の色よりも少しオレンジがかった毛が、内側には白い毛が少しだけ覗いている。
「何…だ、これ…!」
そう言葉に出したところで、急に頭とお尻の辺りがむず痒くなってきて、その箇所へと手を伸ばす。
すると、そんなことあるわけない、と全力で否定したくなるものがそこにはあった。
自分で触れただけでも気が抜けてしまいそうになるそれは、毛の生えた三角のようなもので、お尻には細長いものがくっついている。
三角のようなものは目の前の那月の頭にもあるものだとなんとなく分かる。なら、細長いものは。
自分にくっついているものを確認するのはまだ怖くて、布団の中に潜り込んで、ぺたぺたと那月の背中から腰辺りをまさぐった。
「うわぁあ」
悲鳴を上げる那月を無視して、更にその下に手を移動させる。
思った通り、手にぶつかった細長いものを軽く握って布団を捲った。
掴んだものは那月の髪の色と同じ色の毛を纏っていて、中心に芯のようなものがあり、宙に伸び上がったそれはゆらゆらと揺れ動く。
「はぁ…!?」
叫んだ拍子に力んでしまったからか、那月がびくんと体を震わせた。
「しょ、翔ちゃん…そこ、っ…」
那月の顔に目をやれば頬を染めて、頭の耳は垂れ下がり、耐えるように手を握っている。
「あ、あぁ…悪い…」
ぱっと手を放すと、だんだんと自分まで頬が熱くなり、思わず正座をしてしまう。
あまりに現実離れしていて夢であってくれ、と思っていたけれど、那月の反応を見て一気に頭が覚醒した。
「と、とにかく鏡…!」
ベッドに腰掛けて、傍にある帽子掛けの奥にある姿見を覗き込んだ。
毛の色は流石に自分の髪の色と同じような色だけれど、那月の頭にあるのと同じものが自分の頭から生えていて、意識しているわけでもないのにピクピクと動く耳が見えた。
よく見れば元からある人間の耳は消えてはおらず、寝る前と変わらずピアスもしている。
恐る恐る背後を振り返れば、黄色い毛を纏った細長く揺れる尻尾があった。
見なかったことには出来ないけれど、ゆっくり前を向きなおして膝に手を置いた。
情報を整理しようと考える間もなく、全身がびくつくほどの快楽が走って、勢い良く背筋を反らした。
「にゃあ…!」
「ふふっ…僕たち、猫さんになっちゃったのかなぁ?」
那月が楽しそうな声で言いながら、俺の…尻尾を握ったり上下に擦ったりと、そのたびに力が抜けた気がするのに、体は勝手にビクビクと震えた。
「や、やめっ……那月……んっ…」
やっとで発した言葉を那月は無視して、今度は俺の髪に触れたかと思うと、猫耳の中に指を入れてきた。
これ以上ないくらい顔を反らしてしまって見えた那月の顔は楽しそうでうっとりしていて、どこか狂気染みていた。
目尻から滲んだ涙が一粒の雫になって、こめかみを通り、人の耳の方に流れ落ちる。
「翔ちゃん、お口開けて……声…聞かせて…」
「ふにゃあ、だめ……だっ…て!…んぅ……あっ…」
あぁ…体だけじゃなくて、そんな意識なんてしていないのに猫みたいな言葉が出てしまう。
気持ち良すぎて後ろに倒れこめば、自分の尻尾を踏んでしまって痛みで飛び上がった。
その隙に那月の手が放れて、小走りでベッドから離れた。
「大丈夫…?」
那月は俺の方にそっと手を伸ばして、ゆっくりとベッドに腰掛けた。
「なわけねえだろ!触るな!寄るな!ばかなつき…!」
涙目になって睨み付けると、那月は微笑んだ。
「翔ちゃん、可愛い…猫さんのお耳と尻尾の毛が逆立ってる」
「うっせ!とにかく、この状況はなんなのか、外に出てトキヤとか――」
「ダメです!そんな可愛い翔ちゃんを外に出したら誘拐されてペットにされちゃいます!」
じりじりと近寄ってくる那月に、手の平を向けて後退していく。
「ねーよ!大体なぁ、学校もあるんだから結局外には出るんだ、ぜ……ってお前…」
「もし誘拐された先で、見世物小屋に入れられたり、オークションに掛けられたりしたら…!僕どうしたらいいか…!」
これでもか、と力説するように言う那月の股間を見れば、明らかにその気になっているのがうかがえた。
俺を外に出したくない理由って…。
「うわぁああ…!」
後退しすぎたせいで、背後の那月のベッドに足を取られて後ろに倒れこんでしまう。
今度は尻尾を踏まないようにと意識して、踏まないことには成功したけれど、勢いで瞑ってしまった目を開ければ、影が落ちて那月が覆い被さってくる。
「翔ちゃん…今日は外には出しません。大丈夫。その間、ちゃーんと楽しませてあげますから…」
寸分の狂いもなく、那月が発した言葉にやっぱりな、と目と口角がひくついた。

fin.



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文体がころころ変わりすぎ!w
ここ数日、声優の緑川さんに悶えてたら、いつの間にかにゃんにゃんの日が間近になってて、うわ、書かねば!!と思ったら、急遽、今日から1週間ほど家を離れることになり…\(^o^)/
展開もオチも丸分かりなのですが、帰ってきたらこの続きを書きたいと思っています。またしてもR-18です(笑)
帰ってきてから1週間も経たずにまた急遽、数日家を離れることになり、そんな気分でもなくなってしまったため、ちまちま書いてたのを放置して最後少しだけ変更するだけになりました。
ちまちま書いてたエロい部分はまた別の小説で活かしたいと思います…。猫尻尾を使って書きたかったのあったんだけど、来年もまだハマってたら考えますw(03/07)
執筆2012/02/21

以下、おまけ。落書きに色つけただけ〜。
那翔
2012/02/27