アニメ軸の2期から1年後の夏。視点がものすごく変わります。
いつも甘やかされているなっちゃんが翔ちゃんに甘えてもらいたくて変な方向に。ラブラブえっち。
大丈夫な方のみ、ご覧ください。
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青々と生い茂る豊かな木々に囲まれた山道を突き進む。ガタガタと揺れるバスにも構わず、すやすやと隣で寝息を立てている翔ちゃんの膝にピヨちゃんのタオルをそっと掛ける。
ST☆RISHというグループに所属している僕たちは、グループ活動の合間にソロでもたくさんのお仕事をしている。それはほかのメンバーもそうで、7人ともなればオフの調整が間に合わず、今日は一足先に僕たち2人だけでバスに乗り込んでいた。
向かう先はシャイニング事務所の保養所。簡単に言えば、山奥にある避暑地だ。
広大な自然には川も流れ、温泉まで備わっている。そんな自然には似合わない、ホテルのような大きな建物と小ぢんまりしたログハウスが立ち並んでいた。
去年はログハウスで各々過ごしたけれど、僕たち2人だけの間はホテルに泊まると決めてある。理由はログハウスには浴室がなくて、朝方になって少し離れた先にある露天風呂にこそこそと駆け込むのはもう嫌だと翔ちゃんに言われたからだった。セシルくんを加えたハルちゃんの新しい曲もそうだけれど、久しぶりにゆっくりと時間が取れたのだから、盛り上がってしまうのも仕方がないというもの。前もって、翔ちゃんからホテルに泊まろうと誘ってくれたのも、そういうつもりなのだろうと思うと嬉しかった。
とん、と肩に翔ちゃんの体重が掛かって、翔ちゃんの手をこっそりと握る。温かくて小さな手は見た目よりもずっと男の子の手をしている。節々が目立つのは空手の影響で、まだ習っていた頃はこぶしのところにマメが出来ていた。空手をしていない僕の手にはなかったけれど、弦で硬くなった指先は今でも変わらず僕とおそろいだ。
ピヨちゃんのタオルで隠すようにして、左手の指同士を重ね合わせてぎゅっと握る。綺麗に重なり合わなくても、そのでこぼこさが僕たちを表しているみたいでなんとなく落ち着く。小さな頃を思い出すのもあるかもしれない。お前の身長を越すから今に見てろ、と宣言されたのはいつだったか。僕から逃げる翔ちゃんばかりが記憶に残っているのは、寮で同じ部屋になったり、お仕事についてきてくれたり、グループ活動もあったりと一緒に居る時間が当たり前になったからかな。
歪に握った指先がぴくりと動いて、眠気混じりな声が聞こえてくる。
「ん……どした?」
「ごめん、起こしちゃったね。まだ掛かるから眠っていていいですよ」
寝ぼけ眼で見上げた翔ちゃんがあくびをしながら背伸びをして、定位置に戻ってくる。
「……お前も寝たら?揺れて疲れるだけかもしんねえけど、どんなときでも休めるように慣らすのも大切だぞ」
「こうしてぎゅっとしているだけで、疲れなんて飛んでいっちゃいます」
翔ちゃんの手をにぎにぎしてみると、翔ちゃんの手にも力が篭っていく。
「俺はそういうこと言ってんじゃねえの、知ってるだろ。そうやって話をすり替えんな」
続けて「心配してやってんのがバカみてえだ」と、小さくこぼす。
それは僕にとって、甘く甘く囁かれているようなお薬のようなものだった。
僕もそんな風に翔ちゃんを甘やかしてあげたいのに、たまに翔ちゃんのしっかりしたところが恨めしくなってしまうぐらい、とても難しいことのように感じていた。
「でも、翔ちゃんが甘えてくれたらもっと疲れが飛んでいっちゃうと思います」
「あのな、男が甘えろって言われて、素直に頷くのはお前ぐらいだっつーの」
素直……本当は甘えたいってことなのかな?
うん、きっと翔ちゃんもそういう日があるよね。
「分かりました。今日は翔ちゃんが甘えやすいように、僕、頑張りますね!」
ぐっと拳を握ると、翔ちゃんは「期待はしねーぞ」と笑った。
「――ちゃん、翔ちゃん王子」
肩を揺すられて、優しい声音にゆっくりと意識が浮上する。
薄っすらと目を開けると、額に汗を浮かべた那月。それも服を着ていない。
「そろそろ起きてくれないと寂しいです」
あれ、ヤッてる最中に意識飛ばしたんだっけ。
だけど、甘い腰の痛みも、疼くような感覚もなくて、どちらかというと体は冷えていた。
とりあえずの温もりを求めて、那月の頬に触れてみる。那月の下がる眉に口元を緩めて、その奥にある天井へと目を向ける。出先のロケで泊まるなど、家の天井と違うのはよくあることに変わってしまったから不思議でもなんでもなかった。
体を起こしながらあくびを一つ。どうやら俺は、ちゃぶ台の隣で眠っていたらしい。
和風モダンな焦げ茶色の柱に、明るめの畳に転がるストライプ柄のキャリーバッグにどこに来たのかを思い出す。部屋はとてもそうは見えない落ち着いた和室なのだけど、正直言って、ヤりに来たと言っても過言じゃない宿選びに内心苦笑した。
ストライプ柄、と言えば、那月をよく見ると水着を着ているようで、あの、上半身まで繋がったストライプの水着ではなく、何の変哲もない水着だった。
このホテルにはトレーニングルームやレコーディングルームまであるらしいから、プールもあるのかもしれない。保養所でこの設備だ。日向先生の頭を抱える姿が容易に想像出来て、社長に振り回されるその構図が那月に振り回されているような親近感を覚える。いや、規模も多忙さも違うから一緒にしたらダメか。
「…翔ちゃん、寒いんですか?」
無意識のうちに腕を摩っていたらしい手を握られて、あぁ、とこぼす。
「ちょっとな。クーラー効きすぎだ」
夏は好きで外で遊ぶことも多いし暑さに慣れている方でも、このところ続く猛暑のせいか、避暑地のイメージから程遠い暑さにクーラーをつけて倒れこんだのだった。
ほかのメンバーやスタッフなんかが居る場合には気力でどうにかなっても、那月と2人きりだと放っておいても大丈夫なときというのが把握できてきたから気を抜きやすくなった。
それとは別で理由があるにはあるんだけど。
「だったら、ちょうどいいです!王子、これに着替えてください」
ばっと眼前に広げられたのは、俺が持ってきた水着だった。赤の生地、一部に白の水玉模様。
学園にあるような、空調が効いているような屋内プールにしろ、屋外プールにしろ、これ以上寒くなりすぎることはないかもしれないが、何がちょうどいいんだろう。
那月が自分から「王子」と呼ぶからには、何か企んでいそうな気もする。去年のことを思い出して赤面しそうになるも、そのときに印象に残っていた記憶がするりと言葉になった。
「そういや、ベランダが露天になってるって――」
リモコンでクーラーを弱めてそちらを見ると、ガラス戸に映る黄色いそれに、通りで水着なんか着ているわけだと目を細めた。
「一人で遊んでたのか」
「ピヨちゃんがいましたから」
お風呂で遊ぶときのピヨちゃんをぷえーっと鳴らして笑う那月から水着を受け取って、さっと着替えてしまう。すると、那月が目を丸くして微笑んだ。
「豪快ですね」
「王子っつーぐらいだから、持て成してくれるんだろうな」
腰に手を当ててふんぞり返ってみると、那月は拳を握って勢いよく頷いた。
「任せてください!」
那月が用意したらしい黄色のビニールプールへと浮き輪を浮かべ、その上に乗る形で空を仰ぎ見る。真上は日除けの屋根が半分ほどを多い、曇りない澄んだ空と緑の山が広がっている。眩しい太陽は部屋とは反対側にあるのか日は射していなかった。それなのに、冷えた体はすっかり温まり、熱いぐらいだった。
「力、つよいって……那月…ひっ…も、そこはいいって…!」
バンバンと小さなクマがたくさん描かれている透明の浮き輪を叩いて、飛び上がる足が那月の横を掠めていく。
冷たいはずのプールの水はもはや生ぬるかった。
「ふむふむ……この前、テレビで見た方もそんな反応してました。これぐらいがちょうどいいみたいですね〜」
「ちょうどよくね、つぁっ!」
ぐぐ、と押さえつけてくる指にまた足が跳ね上がる。
俺はお持て成しの一環として、足ツボマッサージをされていた。
馬鹿力を持つ那月にそんなことされたらどうなるかぐらい簡単に想像がつくけれど、誘われるままにぷかぷかと浮かぶ小さな浮き輪に乗り込んだときには遅かった。
「あはは、びくってするたびに裾から中が見えそう」
ピッチリした水着でもないから隙間はあるだろうけど、いちいち言わなくていいっての。
「ばかっ、お前…馬鹿力なの考えろって!」
「それじゃあ王子様、優しくしましょうか?」
「……っ、そうしろ…」
やってくる衝撃に堪えようと息を詰めてみてもそんな気配はなく、那月は足の指に絡めるように撫でてくる。
これは痛くないし、そんなに悪くなかった。那月は動物に触れるとき、腫れ物にでも触るように慎重に扱う。そこに俺は入らないのか、と思うこともあるけれど、那月はそっちの方だけに関して言えば俺に対する扱いも丁寧で優しい。そんな手が、好きだと思う。
那月がちらりと俺に視線を向けて小さく息を吐くと、また指へと視線を落とす。
生ぬるいとは言っても、俺はプールに浸かってるのに那月はプールの外でしゃがんでいるだけ。日は射していないが、那月に浮かぶ汗に熱中症にならないかと心配になる。
「大丈夫か?」
「うん…?もし、王子に足ツボマッサージのお仕事が来たらどうしようって」
「…?どうも、何も……来たなら受けるけど…いてえのはやだなぁ」
「でも、痛いぐらいにしてもらわないと、マッサージ師さんもそんな風に見つめられたらオオカミさんになってしまいますよ」
薄っすらと頬を染めているのは熱中症の前兆じゃなくて、そういう……。
別に見つめてたわけじゃないけど、そんなことを言っても意味がない。那月の見えている世界は、俺とは違うものに映っていると何度も思ってきたから。
もう一方の足にも同じように指先に触れられると、ぴくんと引っ込む指先が丸まって、那月が優しく広げていく。
「んなわけねえだろ……お前のそれ、くすぐってえだけだし……ん…」
土踏まずに向かって指が滑ってきて身じろぐと、那月のメガネが光ったように見えた。
「……全身マッサージに切り替えてもいいですか?」
那月に全身と言われて変な方向へと思い浮かべるのは、たぶん俺だけだ。誰もが思う、那月の天真爛漫さは俺の前でだけ身を潜める。もうずっと、昔からだ。
答える間もなく那月が足先を口に含めてしまう。うっとりとした表情で小指から薬指から順番に舐めてくる。汚いと言ったって那月には通じない。分かってるからいちいち言わないけど、爪先を噛んでくるのは見逃せない。
「マニキュア剥がれんだろ」
反対の足で那月の胸を軽く押し返す。
「僕が塗ってあげます」
「お前クマとかピヨちゃんとか書くから却下」
でかい図体のくせして、那月は手先は割と器用だ。弦を繊細に扱うことに長けているからか。
「えーかわいいのに」
声音とは裏腹にしゅんと落ち込む様子もなく笑みを浮かべたまま影を落とした那月に、ここでもまあいいかと手を伸ばす。その手を取られて僅かに起き上がればきゅ、きゅと肌が浮き輪に擦れる音。体の下から浮き輪がどこかへとすり抜けた。
「全身って、どこしてくれんの?」
唇に触れるか触れないかで聞いてみると、那月がくすりと笑う。
「王子様の仰せのままに」
それは俺が言えってことか。
プールの縁に体重が掛かって水が溢れていくのを止めようと体勢を戻す。ぱしゃん、と安定感の少ないビニールプールが揺れた。浮き輪がなく底についた体は、ほとんどの水が流れてしまって浮くことはなかった。
それを見て、マッサージだというからにはそれらしい注文の方がいいかと3本の指を立てる。
「ボトル3本持ってきたろ?あれ、使ってみねえ?」
試しに言ってみると、那月は目を輝かせた。
「とっても素敵だと思います!取ってきますね!」
ぺたぺたと那月が部屋へと戻っていく。
ボトル、とはローションのことだ。那月は俺が痛くないようになのか、ただぬるぬるしたのが好きなのか、ローションを多めに使うから今日も多めに用意していた。3本というのは流石に多いような気もするけれど、那月の部屋にあるストックを詰め込んだだけだ。
ローションは水に溶けてしまうタイプのため、プールの水抜き栓を抜いて残っている水を流していく。
ビニールプールは周りの縁が黄色で底が薄い水色、浮き輪やゴーグルをつけた小さなピヨちゃんと足あとが散りばめられるようにして描かれている。
俺が乗っていたクマの浮き輪はプールの外へと飛んでしまっていた。
「浮き輪は……使わねえか」
一度手に取った浮き輪を外に置きなおすと、那月がボトルを持って戻ってきた。
全部が流れてしまったプールにぽつんと一人で入っているのも妙な気がして、栓を留めながら早くと手招きする。
「プールは小さいけど、全部使ってもいいかな?」
「いいよ。使っちまおうぜ」
ボトルを1本受け取って蓋を取ると、那月が「そうじゃなくて」と首を振る。
「今日だけになっちゃうな、と思って」
「あ、あぁ……」
ローションがないと那月は気分が乗っていてもやめてしまうから、折角のオフにお預けになると気づいたらしい。
売店でそんなもん売ってるわけないだろうし、こんなとき頼りになるのは――。
「たぶん、レン辺りが持ってんだろ」
那月が納得した様子で頷いて「でも、持っていなかったら困りますし」と1本だけプールの外に置くと、もう1本の蓋を取ったボトルをプールに倒した。とぷとぷと零れるローションが迫ってきて、ひんやりと冷たい。
「那月も入れよ。暑いだろ」
「はぁーい!わわっ…!」
嬉しそうに入ってきた那月がつるっと滑って覆いかぶさった。つられて、後頭部をプールの縁にぶつけたけれど、クッションになったようで痛くはなかった。
心配そうな顔をする那月に「ビニールプールでよかったな」と笑えば、那月がくすっと眉を下げた。そのままごめんね、と頬にちゅっとキスする。
「いいから――」
ヤろうぜ、と言いかけた言葉を那月の唇で塞がれて小さく吐息が漏れる。那月の泣きそうに見えた瞳は鋭く変わっていた。いつも、そうだ。視界から俺以外のものが消え失せてしまったように、熱く見つめて捕らえて離さない。それが俺には逃げないで、と訴えているかのようで身動きが出来なくなる。
「ふ……ぁ…」
冷たいローションを絡めてふくらはぎを撫でてくる手に、ぞくりと体温が上昇する。裾が大きく開いた水着では遮るものもなく、膝裏から伝ってくるローションが太ももからお尻に辿りつく。
唇が離れて、浅く息を繰り返しながら見上げると、那月が「かわい」と呟いた。
キス、しただけだろ?何がかわいいんだよ、まったく。
「全身…くまなく、でよろしいでしょうか?」
頷く代わりに那月の髪を耳に掛ければ、髪についたローションが光って那月の首筋へと伝っていく。そのまま鎖骨を通り下に滑っていくと、那月が微笑んで俺の胸に触れてきた。指で弾いて摘んで、ぴりぴりと気の抜けてしまいそうな甘い刺激に那月の手を軽く掴む。
「……っ」
いつも那月は左手を使う。その硬い指先で撫でられるだけでも気持ちがいいのに、ローションでとろとろになっている指に胸が反れてしまう。ずるずると下がる体が那月の割り込んだ太ももで止まり、空を仰ぐように顔までもが反れてきゅうきゅうとビニールプールが揺れた。
かわいいかわいいとくすくす笑う声が耳をくすぐる。ちっとも嬉しくないけど、それは那月が喜んでいるってことだからそこだけは素直に嬉しいと思う。
でも、俺だけが気持ちよくなってるのはフェアじゃない。
俺の立てた一方の膝を挟むように膝立ちしている那月の股間へと足の甲を擦り付けた。
「こーら、だめですよ。王子は大人しくしていてください」
ビクついた那月が「めっ!」と、人差し指を立てる。
那月は俺に構うのが好きなのは知ってる。でも、俺だって男だ。ただ、されるだけじゃ収まりがつかない気分のときもある。
「王子ってのは下のもんにも気を使うものだ。側近となれば当然のことだろ」
そう言ってやれば、那月はむうと頬を膨らませた。
「それは、また今度にしよう?今日は気持ちよくてとろとろになっている王子を眺めていたいんです」
那月の言う「今度」なんて、一度だって来た覚えがない。
強引に押し倒したところで、気分が高まった那月に押し返されるだけ。そのくせ、そんな気分じゃないときに限って騎乗位をさせてくる。
「……お前はいっつもそれだ」
「だって、しょうがないでしょう?王子の蕩けたお顔は僕へのごほうびなんだもの」
どこかのOLみたいなことを言いながら、普段の表情とは違う男のような顔をする。
那月はそれを自覚しているからタチが悪い。
体温で温くなってきたローションがたぷたぷと膝を打つ。ボトルを2本空けただけでは、とてもプールとは呼べない深さだった。それを両手ですくい上げて、とっぷりと翔ちゃんの胸から垂らしていく。
「……はぁ、……つき」
キラキラと雫が浮かぶ肌にゆっくりと滑っていくローションに、ふるふると身を震わせて見つめてくる翔ちゃんがとても色っぽい。
翔ちゃんの水着のゴムを手前へと引っ張ると、大きくなった翔ちゃんがぴょこんと顔を出す。すると、中に吸い込まれてしまいそうなローションを手でせき止めてしまうから、そっと翔ちゃんのものを挟むようにゴムを離してその手を取った。
「ぁ……そんなとこ挟むな…」
僅かに止まったローションが再びとろとろと翔ちゃんのものへと向かって零れていく。溢れる翔ちゃんの先走りとぶつかって、ぴくんと小さな体が跳ねた。
「ふふ、ここもマッサージしてあげましょうね」
翔ちゃんが好きな左の人差し指で肌に乗るローションをすくって、翔ちゃんの先をすりすりと擦ってあげる。
「あん、ぁ、ぁ、……あつ……じんじんする…」
潤む瞳で剥がそうと掴んでくる手がぬるぬると滑って力が入りづらそうだった。
「じんじん?気持ちいいってことですか?」
「すき、なのしってんだろ……っ、ぅう…」
「そうなの?王子が気持ちいいからって一番嫌がるところですよ?」
今も手を剥がそうとしてくるし、文句を言いながら睨んでくるお顔も可愛らしくて、いじわるしたくなっちゃうのが困ってしまう。
「それ、は……なつきが、イッた後にすぐ触るから……っんぁ…」
「それなら、今日はまだ出してないからいいってことですよね?」
返事を待たず、零れてくる先走りの先へと指を埋めるように沈めていく。
「ひっ、や……ダメ、だめだぞ!」
びくびくと反れる桜色の胸がぴんと尖って、ぎゅっと目を閉じてしまう。わななく唇が唾液に濡れていて思わず吸い付いた。
「んぅ…」
僕が迫ると嫌な顔をされることも多いけれど、翔ちゃんもその気になっているときは別だ。こんなに可愛くても十代の男の子なのだから当然かもしれない。なら尚のこと、お兄さんである僕に甘えて欲しいと思う。でも、僕にはその方法が分からないから、こうすることでしか翔ちゃんを甘やかしてあげられない。いつもと変わらないかもしれないけれど、物足りないなら僕が頑張るから、翔ちゃんは僕の王子様でいて欲しかった。
指をくるくると動かして優しく刺激してあげると、翔ちゃんの目じりに涙が滲んでくる。気持ち良さそうにビクつくたびに、僕の膝をきゅっと締めてくる小さなお尻。
鼻から抜ける甘い吐息に誘われるようにぺろりと舌を舐めれば、翔ちゃんからやんわりと舌を重ねられて唇が動く。
「ぁ…そこばっか………は、んん、くまなくって…いわね、ぞ」
肌を撫でる温かい空気に零れる汗のにおい。暑いのは苦手でも、この熱は僕だけに向けられるものだからずっと触れていたいんだけど。
「でしたら、どこが気持ちいいのか教えてくださいね?」
言いながら、ローションを絡めた手を翔ちゃんの脇腹から上へと撫で上げる。小さな体がきゅっと縮んで、うひゃっと声が飛び出した。
「くすぐる、のはもっとダメだって、ひゃん…!」
撫でた指が胸の飾りを掠めて、翔ちゃんがカーッと頬を染めていく。
僕に触って欲しいと言っているかのように、熟れた飾りはつんと芯を帯びて翔ちゃんを気持ちよくしてくれる。それは分かっていても、翔ちゃんの薄い胸をそっと寄せるように揉みあげていく。みるくちゃんのお乳のように柔らかくはないけれど、嫌そうに僕の手を見つめる瞳が可愛らしい。
今に唇を尖らせて「それ、やめろ」って言われてしまうから、堪能しておかないと。
そう思ったのに、ぬるぬるとしたローションで滑って果実に引っかかるとすぐ抗議の声が溢れてきた。
「まって、あ、ぁ……那月、ぁん、そこ、さっきやったろ…!」
「ちゃんと、どこを触って欲しいのか教えてくれないと分かりませんよ?」
意地悪するように、でも、くりくりと優しくこねれば漏れ出す甘い言の葉。
「…俺が言って、んのは……おまえも気持ちよくなれるやつがいいって……っ」
自分の水着をぺろんと捲って、水着のゴムの上に翔ちゃんの袋がちょこんと乗る。その愛らしさに乳首さんをきゅっと摘んであげれば、連動するように上向いた翔ちゃんがびくびくと震えた。
僕はこうして翔ちゃんに触れているだけで嬉しくて楽しいけれど、翔ちゃんは僕が気持ちいいかどうかをいつも気にしてくれるから。
「そっか、寂しかったんですね」
翔ちゃんと同じようにそっと自分のものを取り出して、大きくなっているそれに顔をしかめる。
「ちょっとだけ、ですよ?」
あまり我慢できそうになくて、そう言えば、翔ちゃんはごくりと喉を鳴らした。
太ももをきゅうと締めてくるお尻から名残惜しく離れると、翔ちゃんの体が滑って伸ばされた膝が股下をすり抜けた。そのまま、頭だけは落ちないようにとプールの縁に首から乗り上げて、反れる体で強調される翔ちゃんを彩る様々な飾り。そこになんとか跨ると、零れる先走りが翔ちゃんの肌にぽたぽたと落ちて、かわいい王子様を組み敷く感覚に胸が高鳴った。
小さく息を吐くと翔ちゃんが急かすように手を引っ張ってきて、ピッタリとくっつくように倒れこむ。
「ん…」
少し動こうとしただけで滑って、熱い体がぴくぴくと震えるのが直に伝わってきて、笑みがこぼれる。
「僕のでマッサージだなんて、王子はとってもえっちなことを考えるんですねえ」
「うるさい…」
上体を起こしながら、ピンク色に頬を染める翔ちゃんのおへそをつつくとそれだけで跳ねる体。お腹に優しく擦ってみると、翔ちゃんがローションに濡れた手で僕のを可愛がるように撫でてくる。
「ふふ、ぬるぬるえっちもしてみたかったんですか?」
「っ……お前が、マッサージとか言うから…」
大きくて蒼い瞳に僕のが映りこんでいることに気づいて、下腹部が一際大きく脈打った。
「かわいい…」
すりすりと真ん中から上に擦りつけてあげれば、小さく息をする唇に先がちょこんとぶつかりそうになる。ちらりと見つめた瞳がにっと笑って、べっと出された舌にぶつかる。再度、勢いのままに熱くてふっくらとした舌が先端を受け止めるように舐め上げて、ぞくりと汗が零れ落ちた。
「王子……なんてこと、するんですか…」
「んぅ、またでかくなった。きもちいいか?」
にひひ、と笑う翔ちゃんが可愛くてかわいくて。
「……甘えてくれるまで、離してあげませんから」
那月は俺を王子だと呼びながら抑えつけてくる。言葉だけでなく、身体までも。
それで甘えろと言われても俺の考える王子像から掛け離れるだけで、バスで言われた「甘えやすく」とは感じられなかった。たぶん、俺と那月とでは王子の解釈が違うからだ。
中にはそういうやつも居るだろうけど、わがままを言う王子ばっかりじゃないってのに。
「ぁ、ぁ、んんっ…」
ぱちゅんぱちゅんと那月がゆっくりと出入りを繰り返す。
体を右に倒されて、俺の真正面にあるのは吐息で白くくもったクマの浮き輪だった。少し視線を下げれば、丸まるように曲げた自分の膝。プールの縁に頭を預けているだけではローションで滑り落ちるかもしれないからと、首に浮き輪を通して枕にするように小さなビニールプールの中へと納まっていた。
滑るローションの力でゆるゆると気持ちいいところを撫でつけられて、飛び出す甘ったるい声。そのたびに黄色のビニールへと頭がぶつかって、浮き輪の中でじんわりと反響するのが辱められているようで居たたまれなかった。
「王子、唇、噛んじゃダメです」
横に向いているせいで、水着をずらされて丸見えになったお尻を揉んでくる手に飛び上がった。
「ひぁっ、ぁ、やだ…」
ナカよりも慣れないくすぐったい刺激に堪えるように再び唇を噛む。
「血が出ちゃったら大変ですから、ね?」
その言葉にアイドルなのに、と諭されているようでむっとした。
それはいつも俺が那月に言っているような言葉だ。そうやって、分かってるくせにわかってない振りをする。
「お願い、お声も聞かせて」
那月の手を引き剥がして、ぎゅっと掴む。
「……おれは、那月の声、聞きたい」
「僕の…?どんな?王子みたいな……えっち、なお声ですか?」
吐息を耳に吹き込むように囁く声。ビニールで反響してエフェクト効果が掛かったように、じんと響く。
「…ちゅ、ん……ふ、王子の、きゅうってあつい…です……」
俺が聞きたかったのは那月が普通に話す声なのに、耳たぶを舐めて響くリップ音に体の奥が疼いてくる。
でも、王子みたいな、と言われては、とても聞いていられない。
「はずかしいからやめろ…!」
「あれえ、ダメでした?」
那月がくすくすと漏らしながら、そっと腰を動かしていく。
プールと浮き輪のビニールがきゅっきゅと擦れる音、たぷたぷと揺れる生温くなってしまったローションに、熱く絡みつく那月。
「はぁ…ん……でも、ナカ、きゅんってしたのはどうして?」
髪に耳に掛かる那月の荒い吐息に煽られて、また飛び出す甘い声。
「ん、ぁっ、……は、ん………ぞくぞく、する、から…ぁあんっ」
これ以上ないぐらいに那月が大きくなるのを感じて、体が強張ってしまう。
「翔ちゃん、僕の声でナカまで感じちゃうんだ……」
かみ締めるように言葉にされるのが恥ずかしい。
好きなやつの声なんだから当たり前だろ?
「んんぅ、イキそ、なんだけど……あ、ぁ…」
膝の間に見える自分のものがびくびくと震えて、高まる熱が限界だった。
「もうちょっと我慢して?一緒にイこう?」
堪えるようにきゅっと目を閉じると、ふいに那月が膝を掴んできて脚が大きく開いてしまう。反射的に閉じようとしても、どうせ那月の力には敵わない。
「やっ、開かなくたっていいだろ…」
「だぁめ、僕に王子のかわいいところ、見せてください」
「なんで、だよ……ぁっ、急に……っ――!」
ずぷぷと奥まで熱く押し込まれて、びくんと反れる背筋に白濁が掛かるのを避ける形になった。同時に那月のくぐもった声と、どくどくと送り出される熱。
「……はぁ…たーっくさん、我慢してたんですね、プールの外にも飛んでっちゃいました」
頬にキスをして耳元で嬉しそうに話す声に、ぼんやりと目を開けると透明のローションに白が混ざりこんでいくところだった。
力なく握った那月の手がすり抜けて、もう一度開くようにされると俺の中で受け切れなかった那月の白い熱がどろどろと糸を引いていた。
俺は割と本気で口でしたかったんだけど。
言ったところで、俺がその気になっているときはさせてくれないから、そういう風に持っていくしかない。明日の演技プランを考えて、俺はAVにでも出るのかと一人突っ込みを入れる。
ずくずくと疼く体に溢れた唾液を飲み込んで、達したばかりで敏感なそれに触れようとする那月の手を慌てて掴む。
「それは、いい……から…」
「僕、気持ちよくて飛んじゃうときのお顔、すごくすきなの…知ってるでしょう?」
いつもしてくるからそうなんだろうと思ってたけど、そんなの絶対バカみたいな顔に決まってる。
それに時間は有限だから。
「っ……俺が何のためにバスとか、部屋で寝てたと思ってんだ…」
そう言ってやれば、那月が飛びつくように抱きしめてきて、かわいいかわいいと耳元ではしゃぐ。
こうしてるときだけはかわいいんだけどな。
夕日が差し込んで、夏でも白い肌が燃えるように朱を差している。水着の赤は翔ちゃんの片方の足に引っかかっているだけだった。
「王子、夕焼けが綺麗ですよ」
「みえね、し……ん、ふ……ぅ…」
うつ伏せでクマさんの浮き輪につかまって、差し出された桃尻を手で包み、谷間を開くように揉みしだく。びくんと跳ねる体で、繋がっているところがきゅっとなるのがたまらなく可愛らしい。
「もむな、いやだ、なつき……ぁ、んん……んぅ…は、ぁ」
翔ちゃんの甘いメロディは口付けられたクマさんの浮き輪に吸い込まれるようにして耳へと届く。
少しでも力が入るとローションで滑って、四つん這いの状態から左右に開くようにして翔ちゃんから自由を奪う。そのたびに気持ち良さそうに声を上げて背筋が反れ、それが温くなったローションのプールに敏感な先端が擦れるからだと想像できて身震いした。
「でも、こうやって、いつまでもえっちできるように考えてくれていたなんて、僕の王子様はとっても賢いですね」
「うるっさい…ヤりたかったんだからしょうが、ねえだろ…」
中が熱く締め付けてきて、途中までしか入っていないのに動けそうになかった。
「本当にかわいいです……嬉しくて、どうにかなっちゃいそう」
そんなこと言われたら、ぐちゃぐちゃにしてしまいたくなる。
してもいいよって言われているようでたまらなくなる。
だから僕は、翔ちゃんが強く求めてくれているときに反対のことをするしかなくなるんだ。
今日はお口でだって、させてあげないよ。
「……そんなに締められたら動けないです。ちから、ぬいて?」
ぬちぬちとした粘着質な音が繋がっているところから聞こえる。激しく脈打つ鼓動にかき消されそうな翔ちゃんの微かな吐息。翔ちゃんが抱きしめる浮き輪にさえも嫉妬してしまいそうで、ぎゅっと手に力が入る。
「やぁっ……尻、もむのやめ……」
その小さなお尻に突き立てた自分のものが酷く不釣合いで、酷く、興奮する。
「あつ、あつい…」
「大変です!熱中症になったら…今、冷たいシャワーを…」
後ろを振り返ろうとして抜けそうになった腰が小さく揺れる。
「んぁ……ちが、ちがうから…!」
翔ちゃんの体に触れると身じろぐ腰が熱を持ったように熱い。体を重ねているときはいつもそうだから、気にしていなかった。
せめて何か冷たいものを、ときょろきょろと見渡して目に留まったのがプールの外に置いていた最後のローションボトルだった。それを翔ちゃんのお尻から繋がっているところから、どぼどぼと掛けていく。
「ひっ、つめた、ぁ、ぁ…」
ひんやりするローションで感じるように体が跳ねて、きゅうきゅうと締め付ける。
「いけません、イッちゃいそう…」
「…やぁんっ!」
ずるんと一度全部を引き抜くと、とろとろと翔ちゃんのお花に垂れかかるローションに急くようにボトルの口を翔ちゃんに差し込んで、中へと送り込んでいく。
「な………おなか、ぁ、ぁぁ…」
きゅるきゅると鳴る音に翔ちゃんがお腹を摩る。
「苦しいよね、ごめんね……気休めですけど、ないよりはいいと思うから…」
「俺は、お前のが…心配だ…」
「ふふ、大丈夫ですよ。でも、一度済ませてお部屋に入っちゃいましょうか」
余ったボトルをプールに転がして、頷く翔ちゃんにそっと自身を突き立てる。それだけで、僕を求めるように口をぱくぱくさせて、ずるりと中に入ってしまいそうで吐息が漏れた。
「なつき……なんで止まっ……うぅ…」
耳までも赤く染めて、ふるふると震える肩にまた息が漏れる。
反れた背筋に溜まっていくローションがキラキラと反射して、まるで宝石のようだった。
「はぁ…とても綺麗…」
翔ちゃんが輝くのはアイドルをしているときだけじゃない。ファンのみんなには見せてあげられないけれど、僕だけが翔ちゃんを心ゆくまで味わえるんだ。
「那月ぃ……はやく…」
小さく腰を揺らして言われたおねだりに、もう一度言って欲しいと王子様にお伺いを立てた。
「……どこをマッサージ、して欲しいですか?」
「っ……」
黙り込んでしまうから、ここですか?と意地悪するように翔ちゃんのお尻をぎゅ、ぎゅと親指で押してみる。
「あん、あっ、あぁ、ちがぁ…!そこ嫌だって言って……も、ここ!ここだっつってんだろ!」
叫びながら綺麗に塗られた黒の爪が自分のひくつくところを指した。
翔ちゃんは恥ずかしがり屋さんだけど、やっぱり男の子だから時には豪快だ。そのちぐはぐさが、僕を虜にする。
くすくすと漏らしながら、分からない振りをして聞き返す。
「ここ?どんな、マッサージをご希望ですか?」
「……那月の、硬いの…」
「硬いの?分かった!指ですか?」
くちゅりと左の指を差し込むと、ぶんぶんと首を振る。
「ち、ん、こ!」
「あはは、かわいい」
指を抜いて翔ちゃんの手を握る。綺麗に重なり合わないどころか、手の甲を掴んでいるようなものだ。
翔ちゃんを抱きしめるようにして、自身を奥まで押し込んでしまう。
ぬるぬるとした体で滑り落ちてしまいそうだけれど、翔ちゃんの胸に指を絡めて跳ねる体でちょうどいいピストン運動へと変化する。
「あぁん、ん、んぅ……那月、ふ、ぁあっ…」
翔ちゃんが飲み込んだローションはすっかり熱くなっていた。
うなじに鼻先を摺り寄せて、空いた手でくりくりと尖った胸の飾りを弄ぶ。滑った体が沈むたびに、びくんと浮き上がる感覚に体が抜けてしまいそうになる。
ゆるゆると中を犯していくのは湯船に浸かっているようで気持ちがいいんだけれど、翔ちゃんは物足りないかな。
「王子のここ、とても凝り固まっています……解してあげましょうね」
マッサージするように前立腺を擦ってあげれば、かわいい声と共に涙をぼろぼろと零していく。
「ぁん、あ、っああ……んぁあぁ……そこ、もっとほぐして……ぁあん」
「本当にかわいい、かわいい王子様……だいすき」
「は、やぁ………やだ、や、名前、で呼べよ…なつき」
それが甘えてくれているように感じて、ただただ、はい、翔ちゃんと囁いた。
fin.
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素敵企画http://arkadia.aisnet.jp/shinosyofes/2013Summer/参加作品です。お祭り開催ありがとうございました!
ゲームをプレイしていると翔ちゃんって性欲あんの?って結構本気で思ってるぐらい1人で滅多に抜かない子だと思ってますが、そのせいで快楽に慣れてなくて気持ちよくなっちゃうんだとも思ってます。初めてがなっちゃんなら余計にね。そんで、えっちが気持ちいいと知っちゃったあとはがっつがつしてそうかなとも。初えっちからとんでもないことになりそうだよね。
てか、アニメ軸だとそこに幼馴染設定が追加されるわけだからね…かわいい。
事前にブログで宣言していたような、アホエロっぽくはなりませんでした。楽しかったです。
執筆2013/08/08〜24