サタン的な力により性別が後天的に逆転した世界で、砂月だけ♂のまま(四ノ宮は双子)でアホエロ3P。
初っ端から砂那で挿入有。砂+那x翔ではなく、砂那♀x翔♀。なっちゃんも喘ぎます。終始ヤッてるだけ。
3人の関係は至極円満。さっちゃんはSクラスの作曲家コースで部屋は別。
なんかもう本当にぶっ飛びすぎなので、何でもこいやー!って方だけどうぞ。
※前編では翔ちゃんへの挿入はありません。
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ぼんやりと何かが淡く光っている。ルームメイトが起き出して電気でもつけたのかと僅かばかり苛立ち、投げやりに声を掛けた。
「まだ目覚まし鳴ってねーだろー。眩しいんだよ」
瞼の裏が赤く浮かび上がり、眩しさから逃れようと寝返りを打つ。それでも変わらない眩しさに布団を頭から被ってみると、その眩しさが闇に吸い込まれていくように消えていった。
眠気は少しも晴れていないのもあって、すぐに夢の中へと戻るかと思ったのに、それを阻むかのように何かが圧し掛かってきた。
「……んだよ……ねみーし重いんだけど」
顔を見なくたって分かる。こんなことをするのは同室の住人である那月のほかに、双子の弟か母親ぐらいだ。そして、学園の寮で暮らしている今、家族はここにはいない。
「なーつーきー重いって」
布団に潜り混んでくることも多いこいつはスキンシップ過多な俺の恋人で、学園の校則にある「恋愛禁止」はこいつには無意味のようなものだった。
気分さえ乗れば構うのもありだけど、俺が今欲しいのは恋人の充電ではなく良質な睡眠だ。
「ううん……もう……わかった。一緒に寝てやっから、乗るのはやめろって」
退いてくれないと動けなくて、那月が寝る分のスペースも確保出来ない。
つーか、今日はあいつの部屋に泊まるって言ってたはずなのに何なんだ。
返事がなくて何をしてんだと布団から顔を出してみると、真っ先に飛び込んでくるのは黒い影だけ。どうやら、電気なんて一切ついていなかったらしい。
ふっと影が沈み込み重みを感じなくなると、布団が舞い上がる。足元からすっと風が入り込み、また体に重みが戻ってくる。もぞもぞと布団が盛り上がってだんだんと上に進む。布団の擦れる音よりも妙に大きく聞こえる気がする那月の息遣いに、また、ぺたぺた触れてくる手に嫌な予感しかしなかった。
「待て、まて、朝はダメだって――」
「やっぱり翔ちゃんのおちんちんないです」
「は?」
やっと発した那月の言葉に、眠気のせいか頭の処理が追いつかない。
何言ってるんだ、コイツ。
「あぁ、朝勃ちしてねえってことか。どっかのスケコマシのせいで勃ってる日の方が少ねえよ」
悪態を吐くと、バサァと布団が捲れて夜目に慣れた那月が顔を出す。
「そうじゃなくて……せっかく翔ちゃんのを味わえる機会だと思ったのに…」
「あ、味わうってお前……」
機会も何もそんなもん遠慮もなしに咥えてくんじゃねえか、と恥ずかしいのと呆れで顔が引きつる。
「なら、俺でも構わねえだろ?」
聞こえてきた那月よりも低い声。急についた電気に顔を背けた。
次いでご丁寧に、扉が閉まる音とガチャリと錠の掛かる音。嫌なパターンその2が来たと思った。
「だって……さっちゃんも大好きだけど、こっちの初めては翔ちゃんが良かったの」
「仕方ないだろ。もう我慢効かねえぞ」
すたすたと、こっちに歩いてくる男は那月の双子の弟で、那月の恋人?で、俺の恋人だ。世間一般的には意味不明かもしれないが、それで子どもの頃から一緒につるんでいる。
砂月のシャツは肌蹴ていて、すでにひと悶着あったようだった。
「うん……慰めてあげるから、僕のことも慰めて?」
「あぁ」
……何の話をしてんだ、こいつら。
呆気にとられたまま口を挟めないでいると、砂月がベッドに上がり込むのと合わせるように那月がこっちに倒れこんでくる。重さよりも先にぽわんとしたものが胸に当たって、何だこれとそれに触れてみた。途端に「あんっ」なんて、目の前の那月がわざとらしく声を上げる。何かの間違いかと思って、よくよく見たら第二ボタンから開いた襟に、本来あるはずのない深い谷間が刻まれ、触れたところから挟むように押してみるとその谷間が柔らかそうな肌がたゆたう。
「な、なん…だ!?おま、え、これなに」
「ん……おっぱいですよぉ。ふふ、柔らかいでしょう?」
「いや、いや、いや?何当たり前のように言ってんだ――ひゃん」
大事なところに触れられて脳に走った電流が体を震わせ、目を見開いて映ったのは、びくんと那月が跳ねるところだった。
「や、さっちゃ……もっとぉ…」
自分のわけのわからない声どころか、那月のやらしい声にもカァと頬が熱くなる。
する、と撫でられて伝わってくる熱いものがいつもと違っていて、それに呼応するように心臓がドキドキと煩い。
「どこ触って……っ」
まさぐられたところに手を伸ばすと、手の甲にぽたりと零れる熱い何か。
「ん……はぁ、あっ……んんぅ…」
俺に構わず続く那月の甘い声にたまらず肩を掴んで力いっぱい押し上げると、豊潤過ぎる谷間の向こう側に砂月の顔がちらりと見えた。
つーか、待て。第二ボタンしか留められていないらしい那月のクマのパジャマから見えるおへその先には那月の男のソレがない。那月は下着もズボンもはいてはいなかった。
胸ぐらいなら遊びでなんかつけてんだな、ぐらいは思うけどさ。ちんこないのは流石におかしいよな?
理解不能過ぎて、口がぱくぱくと言葉を飲み込んでいく。そんな俺に気づいたらしい砂月が鼻で笑った。
「間抜けな面してんじゃねえぞ、チビ。お前も脱げよ……んっ」
びくついて悲鳴を上げる那月に、砂月が那月のあそこに口付けているのが分かって、ずるずると下げられていくズボンよりもそっちの方が恥ずかしかった。
「はぁ、女の子ってこんな感じなんですねえ…」
那月が俺の脇に腕をついて、自分で体重を支えてくれたから変に入っていた力が抜ける。
「いい具合に濡れてきてる。痛くねえといいんだけどな」
ぽたりぽたりと、お腹に落ちてくるそれに緊張して強張ったのか、自分にあったはずのものが消えているのを目にして強張ったのか分からなかった。その感覚をあえて男のときに言葉にするならアレしかない。
「たま、ひゅん……」
僅かばかりの沈黙に、怪訝そうな顔をしている2人の顔が容易に想像出来て、那月の揺れる胸を見つめながら作り物だこれは、そうに違いないと現実からの逃避を願った。
「翔ちゃんお顔、真っ青ですよ?僕があっためてあげますね」
願ったところで、再びほとばしる熱によってアッサリと現実へと引き戻される。ついでというかなんというか、予期せぬ快楽に甲高い声を伴ってしまったのは仕方ない。嬉しそうな顔をされるのも想定内だったし、今日の俺様は一味違う。顔を背けず、睨むことだけは出来たんだ。もちろん、しっかりと那月の両腕も確保した。
どうだ、進歩しただろ。
「あは、かわいい。さっちゃんがここ、キスくれて……んん……はぁ…あっそこきもちいです…さっちゃ…」
けれど、追い討ちのように告げられた言葉にやっぱ舐めてたのかとか今も舐めてんのか、と冷静に考えてる自分がいて、カタコトになった。
「ソンナ情報はイラネーヨ」
夢だと思いたいというだけで、人は悟りを開けるのかもしれない。そんな心地だったのに、砂月の「もう、いいか」なんていう一言でかろうじて留まっていた那月のボタンがぱつんと弾けた。子ども用にしか見えない愛らしいクマのパジャマからは想像がつかない大きなそれがぽろりと現れ、那月が震え上がるのと連動してぶるんと揺れる。
重力に逆らうようにしてつんと上向いているピンクの飾りにどきりとした。何となく見たらダメなものを見てしまったような気がして、慌てて弁解する。
「わわっ丸見えだっつの…!目、瞑っててやるから、仕舞え。早く仕舞え!」
ついさっきこれは作り物だと思おうとしていたけれど、もう俺の中で自分でボタンを留めてやるなんて選択肢はなかった。目の前のこれは女にあるものだ。いくら相手が那月だろうと、許可もなく男である俺が触れるのはダメだ。
でも、ぎゅっと目を瞑るのが精一杯な俺を無視するように聞こえたのは、那月の絡みつくような嬌声だった。
「ぁ、ぁあぁぁ……あつう……はぁ…あんっ、ぁ、ぁっ」
那月の漏れる声と熱い吐息が顔に掛かる。そこに砂月の掠れたような吐息に腰を打つ音が混ざり、ぱちゅ、ぱちゅ、と聞くだけで顔が真っ赤になる水音にわなわなと叫んだ。
「お、お前ら、人の上でおっぱじめてんじゃねーぞ!」
「しょ、ちゃ……僕が先でごめん、なさ……んっ……翔ちゃんにも、どん、な、感じか…教えてあげます」
聞く耳を持つつもりすらないらしい那月が軽々と俺の手から逃れて、再度おへその下へと伸ばした。ほんの少し触れただけなのに、ピリっとして頭がとろんとなるような刺激。思わず逃げようとして体を上へと滑らせると、頭に痛みが走った。どうやらベッド上部で頭を打ったらしい。
「大丈夫?ここは男性で言うとちょうど亀頭さんの部分なので……たくさん擦ってあげると……」
「ひ、ぁあぁ……や、やめ……ぁぁあぁっ!」
打った痛みなんて吹っ飛ぶほど、痺れるような熱が体を駆け巡る。
亀頭と同じってどこからそんな知識仕入れて来るんだこの天然は。
「んっ、んっ…さっちゃの大きいよぉ……」
んなことは言わんでも知ってる!つーか、お前も同じ大きさのもの持ってただろうが!
那月の声と共に下へと大きくスライドした指がぬるりとしたものを引き連れて、さっきよりもずっと体がしなった。
「ぁ、ぁっぁぁっ、ば、だめ、だってえぇえ…」
「いい声…翔ちゃん先っぽ弱かったですもんね」
擦られるたびに、そこからじわりと何かが溢れていっているような気がして、2人が俺の上で踊るように交わるのにも負けないぐらい恥ずかしい。
「やぁっあぁあん…!」
頭の芯から痺れるようでおかしくなったみたいに体がビクついて、わけもわからないまま声が溢れてしまう。
「ふふ、女の子になっても翔ちゃんは敏感なんですねえ」
「根本は変わらねえんだろうな……だったら、チビの胸は小せえのか」
だったら小さいっつー根拠はどこから来るのかを一瞬考えて頭を振る。
反論するどころか、煩い心臓と荒くなる呼吸にしばらく動きたくなかった。
「うーんと……」
ぽすんと体重が掛かると那月の髪がふわふわと鼻をくすぐり、ピッチリと止まっているボタンを器用に唇で外していく。伏せるように上体を下げた那月によってやっとまともに砂月の顔を見れたけれど、目が合うとにやりと笑って那月の胸へと手を伸ばした。反応するように飛び上がった那月の「女」の体。肌に沈み込む砂月の指にそれがどれほど柔らかいかを物語っていて、パジャマからこぼれた自分のちんまりとしたそれになぜか悔しく思えた。
何でだ。俺は男なんだし、胸なんかどうでもいいじゃねえか。
居たたまれなさに顔が熱くなってきて、睨むようにしてさっと服を閉じた。
「まぁ、どっちも楽しめるのは得だよな」
からかってんのか。それともそれで慰めてるつもりか。
「なぁ、那月…んっ」
「ふぁい…」
口付ける砂月に甘ったるい返事をしながら動いた那月の指に体を震わせる。
「ぁ、ぁぁ……っ!」
「……しょちゃ…まだこんなに濡らして……僕たちを求めてくれてるんですね…」
那月の言葉に砂月の手が離れると、ふわりと降ってきた那月の唇。
よく分からないけれど勃つものがなくなってしまった今、那月の言ってることは正しいのかもしれない。
「なら、ついでにチビも慰めてやるよ」
パン、と腰を打つ音と一緒に滑るようにして、那月の指がぐちゅりと中に入ってくる。反射的にビクつく体に那月の唇が離れ、変な声が飛び出た。
「はぁ、ん……かわい…気持ちいいよね。とっても分かりますよ」
「本当か?……お前だって、初めてなんだぞ。血は……出てねえみたいだが」
「だいじょうぶ……おなかぐうって押されてるみたいで、それが、っ……ぁぁ、んんぅ…」
「んっあ……ぁ……ん、ぁっぁあっ…!」
砂月の律動に合わせるように指がピストンするように動く。砂月が強く打ち付ければ指も奥まで入り込んで、しつこく同じところを擦るような感じといい、那月の意思ではないのが分かる動きに、那月の指を通して砂月に犯されているようにも感じられた。
那月の熱い吐息が胸へと掛かってそちらを見やれば、パジャマが捲れていて那月が胸の先を見つめていた。ビクついて反れてしまう胸が那月の唇に吸い込まれるように嵌まり込むのを感じて、腰まで浮き上がる。
「っあぁ…こんなにおっぱい突き出して……舐めてほしかったんですね、ん…はぁ…」
「ち、がっ……あっ、ぅう…はぁんっ」
漏れる吐息もそうだけど、砂月に揺さぶられる体のせいか甘く甘く噛まれると、きゅんきゅんと奥を突かれるのも相まって余計に体が反れてしまう。
「やぁ……なつ、き………ぁっ、ぁぁあ……!」
「このクソチビが……少しは那月のことを善くしてやろうって気にはならねえのか」
「んあ、こと……いったって…あぁん……ふぁ…」
俯瞰するように見下ろしていた砂月に手を取られたかと思うと、触ってみたくても触ったらダメだと思っていた、ぽわんとした柔らかさと肌に浮かんでいる汗に俺が恥ずかしくなる。
俺としては我慢するのが男らしいと思うんだけど、この2人を見てるとどっちが男気全開なんだろうと思わされてしまうから。
「んんぅ……手、引っ込めないで。大丈夫だから、ね?」
那月がふんわりと微笑むから、触ってもいいんなら気持ちよくしてやるべきだよなとは思うんだけど。瞳を蕩けさせて、すぐまたぺろぺろと人の乳首を舐めて吸う那月がいつもと一緒にも思えるのに、なんでかずっと可愛く見えた。
「はは……すっげ、やわらけーな」
ほっと一息吐けた気がして呟けば、急にずく、ずくと那月の指が砂月の律動が早くなる。
「なん……ぁあん、ふ、ぁぁあ…っんん、やっ……そこだめだ!」
「あ?ここか?」
直接砂月が入れているわけじゃないのに、那月の指が的確に擦るように突いてくる。ぬるぬると滑る親指までが感度の高い芽に触れて、煩い水音と熱すぎる快楽にたまらず体を仰け反らせた。
「ぁあぁっぁあ…っらめ……ぅあっ、んぅぁあぁあ…!」
手に力が篭って沈み込む肌を堪能する暇もなく、びくびくと跳ねる体に頭が熱くて零れる涙で視界が真っ赤だった。じわじわと広がっていく熱を感じながら、呼吸するのを思い出したように浅く繰り返す。
「ぁんっん、んんっ……!」
次いで声を上げた那月がぶるぶると震えるようにして俺にしがみ付いてくる。
「……くっ、しめすぎ……だ、那月っ!」
苦しそうな砂月の声に、ぼうっとする頭で見えたのは宙に飛び散る砂月の性だった。
「あー!!もう、イッちゃうならお尻にして…」
「……は…、んな余裕あるかよ」
バカみたいな言い合いする2人に笑って、夢の中へと飛び立った。
カチ、カチと進む時計の秒針。時はすでに9時を回っていたが、外のパニックに巻き込まれるのは面倒だと部屋に閉じこもっている。
明け方、俺の部屋に泊まりに来ていた那月の体が淡く光っていた。体を揺さぶっても目を覚まさず、何が起こっているのか目を凝らしていると、見るからに体つきが柔らかくなっていく。胸元が膨らんでいるのに気づいたときには、那月を包んでいた光が消えていた。
咄嗟にズボンと下着をずり下げて太ももを押し上げ、なくなってしまった那月のものを確認していると、那月がきょとんとした顔で目を覚ました。
「僕は眠ってるときじゃなくって、起きてるときに迫ってほしいです」
「那月……お前、体が女になってる」
「…?僕が女の子?そんなわけ――わぁ、本当です!何ででしょう?あ、見てみて、さっちゃんおっぱい!」
無邪気にパツパツになっているパジャマを捲って胸を見せてくる那月を押し倒した。
「お前が煽ったんだからな、試しにヤらせろ」
「いいけど……折角女の子になったんだったら、翔ちゃんにしてもらいたいかも……って言ったら怒る?」
振られたようで多少気分はよくなかったが、チビ――翔はまだ童貞なのもあって2人がいいなら俺は別に構わなかった。部屋の外に出るまでは。
まだ明朝で誰も起きていないだろうと思っていたが、廊下にはそこそこ人が居て男子寮なのに見渡す限り女しか居なかった。
髪が短いままなのが変だとか、胸の大きさがどうだとか、トイレに行ってみただの好奇心漲る異質な女たち。
「あー那月おはよー砂月んとこいたんだ。那月はおっぱい大きいねえ」
「わぁ、おはようございます!みんなも女の子になってたんですねえ」
「そうなんだよね。もうビックリ!トキヤとマサは布団に篭って出て来なくなっちゃってさーレンは夢かもしれないからもう一眠りするって。なんか冷静だよね〜」
「へえ……ちょっと僕、翔ちゃんの様子見てきます」
「あ、うん……そうだね」
那月の目つきが変わって、赤いの――音也がビクつくように視線を逸らすと俺に気づいて飛び掛ってきた。
「うっそ!?砂月ってば、男のままなの!?」
力任せにボタンがぶちぶちと飛んでいく。
俺の顔と胸を交互に見て、人の股間にまで伸ばそうとする手を掴んだ。
「触らなくても分かるだろ」
「えーニュースになってるんだよ?世界中の人の性別が入れ替わってるって!ハーレムじゃん!」
「……」
性別の垣根を越えて惚れたやつが女になったからと言って何かが変わるわけではないが、惚れてもないやつ相手にハーレムだとか興味がなかった。
浮かんでくるメロディを五線譜へと書き記しながら、何気なくテレビをつける。すると、電波が届いていないのか、どの局に切り替えてもノイズ画面が流れるだけだった。
何も放送出来ないほど大規模なパニックになっているのか…?
電源を落として那月を見やれば、翔の体を弄びながら着せ替え遊びに興じていた。
「うーん、やっぱり男の子だったときよりもサイズダウンしてます……新しく買ってきてもいいけど、きっとどこもお客さんでいっぱいでしょうねえ。真斗くんに頼めば、寸法合わせてくれるかなぁ」
那月が持っている女物の服は男だったときの翔に合うものしかなく、ため息ばかりが聞こえてくる。
「それは、チビのスリーサイズを教えるってことにならねえか?」
「そうですね〜可愛くするためとは言っても、真斗くんは恥ずかしがっちゃうかも…」
そういう意味で言ったわけじゃないんだが、と口を挟もうかと思ったが続く台詞に言葉を飲み込んだ。
「渋谷さんもお衣装作るの得意ですから、彼女に頼んでみましょうか」
「……なら、一度様子見がてら外に行ってみるか」
五線譜をローテーブルに置いて、制服のブレザーに袖を通しながらふと疑問に思った。
「お前の服はどうするんだ?」
もともとパジャマは男のときの那月には小さめのものを無理に着ていたのもあって、女になっても胸囲でどうにかなっていた。かと言って、翔の服では丈が短いだろう。
「ふふ、いいものがあるんです!」
那月は人差し指を立ててベッドから降りると、翔のタンスに近づく。中から取り出したものは、翔がよく着ているフードがついたベージュの制服だった。
「これね、翔ちゃんがいつかワンサイズ上がったとき用に買ってあったやつなんですよ〜。だから、ちょうどいいと思うんです」
Yシャツに袖を通して、ね?と微笑む。
すぽっとパーカーを頭から被ると翔がしているように袖を折り、ズボンを履く。流石に男物のMサイズではだぶ付いていて可愛らしく、翔の服を着ている那月というのも新鮮だった。
おまけに翔の帽子を被って、似合ってる?と首を傾げて覗き込んでくる。
「帰ったら、その格好でもう一発な」
那月の唇を奪うと、那月はくすくすと笑った。
「翔ちゃんので興奮しちゃった?」
「しない方がどうかしてる」
那月は「本当に分かりやすい」と嬉しそうに洗面所に消えていった。
ベッドに腰掛けてぐったりとして眠る翔の髪を梳けば、薄っすらと蒼を覗かせる。
「チビ、俺たちは出かけるからな。留守番してろよ」
「ん……那月もいくのか…?」
那月が体を弄りすぎたのか、とろんとした瞳が熱っぽい。着せられているひらひらした服を脱ぐ気力さえもないのか、すぐにでも眠りに落ちてしまいそうだった。
「あぁ。返事は?」
軽く頬を叩いてやると、翔は嫌そうに払いのけてくる。
「わーったよ。俺は女になったのなんか、知られたくないしな……」
そう言えるのは、世界でニュースになっていることをまだ知らないからだ。那月同様、翔も筋肉が落ちてるし、性別が入れ替わったばかりで好奇心旺盛な思春期真っ盛りの妙な輩がいないとも限らない。状況を把握するまでは俺のいないところで動いて欲しくはなかった。
「ちゃんと寝とけよ。俺はまだお前の体味わってねえんだから」
そう言ったら、顔を真っ赤にして布団に篭ってしまった。
「くくっそれは、大人しく待ってるってことでいいんだよな?」
「うっせ…いちいち言う――んん…」
衝動のままに布団を剥がして、言葉を塞ぐように口付ければ翔は抵抗の素振りもなく舌を受け入れる。火照る顔の通り、ねっとりと熱い口内に頭が痺れる気がした。
「……ん、あっ……ふ…」
声と吐息が漏れ、涎が唇を伝っていく。離れるなとでも言うように服を掴まれては、翔が俺に対して素直なのが珍しくて止め時が見つからなかった。
このままじゃ出かけられない。
頭ではわかっているのに、流されるようにベッドに乗り上げた。
「んぅ……っ」
苦しそうにしながらも返してくる翔に答えるように、角度を変えて深く貪る。眉間に皺が寄り、唸る声が掻き消えていく。力なく叩いてくる細い手首をシーツに縫い付ければ、こくんと喉が鳴り零れてくる涙にかくんと翔の反応が途絶えてしまった。咄嗟に離れたが、翔は失神したのが返事がない。
「あれ、さっちゃんどうしたの――」
身支度を整えて戻ってきた那月が翔の様子にぺちぺちと頬を叩く。
「手加減忘れた」
「もう、ダメだよ。翔ちゃんはキス苦手なんだから……」
キスが苦手というか、翔は性的な行為が得意ではなくすぐバテる。いくら行為を重ねても慣れないし、キスなんか息も出来なくなるほど要領が悪かった。
まぁ、そこが男心をくすぐるんだが、那月も人のこと言えないだろうとは言わないでおく。
「わかってても、どうしようもないときはある」
「うん。さっちゃんも翔ちゃんに触れたかったよね。帰ってきたらたくさん可愛がってあげよう?」
頷いて、翔の寝息が規則正しくなるまで、間抜けな顔を眺めることにした。
次
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書けているところのキリがいいところまでですが、前編としてアップしておきます〜!
なしょちゃんの日おめでとう!(更新日が7/4)
執筆2014/05/09〜31