俺の世界の中心

那翔前提、砂那(非分裂)+砂翔。801。
簡単に言えば、この話の中でヤってるのは砂翔で、さっちゃんの中からなっちゃんが見てる。また3P風のNOT3Pです。
翔ちゃんビッチで、なっちゃんもがっつり喘いでいるので苦手な方は注意。
大丈夫な方のみ、ご覧ください。
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夜、寮の部屋で俺が音楽番組、那月はPIYOちゃんの特番が見たいと意見が割れると、那月はHDDに録画するからとあっさり手を引いた。
そうして、音楽番組を一緒に見るのかと思っていたら、那月はすぐ隣にある洗面所に入っていくとそのまま風呂に入り始めたようだった。
CMに入る前や、1曲ごとに途切れる僅かな静寂には、小さくシャワー音が聞こえてくる。
目当てのバンドの曲が終わり、水が入ったペットボトルを取りに行こうと立ち上がると、いつもなら気にならないシャワー音が今日は耳につくような気がして、洗面所の扉に近づいた。
理由は風呂を沸かしてあるのに、いつもよりもシャワー音が長かったから…だったように思う。
拳を握ってノックしようと、手を上げる。
「な――」
そして、声をかけようとして、ぴたりと動けなくなってしまった。
「……な、つき……は…んっ………ち…いいか…?」
え…?
聞き取りづらくても声は那月よりも低く、砂月らしいということは分かったけど、これは…。
一人で…してる…?
しかも、おかずは那月…?
俺はなんとなくショックを受けていた。
俺と那月は付き合ってて、その上で、俺は必死に砂月にアプローチを掛けていた。
那月はそのことを知らないし、砂月の存在も知らない。那月に悪いと思いつつも、俺は砂月にも好きになってもらいたかったから。
そして、砂月はよく那月が大事だって言うけど、それは恋愛感情じゃないと思ってたし、アプローチの成果があったのか、たまに砂月も俺のことを好きだと言ってくれることがあって、ねだれば俺を抱いてくれることもある。
そんな関係にまでなっていたのに、なんで那月をおかずにするんだ…?
別に俺をおかずにしてほしいってことでも、一人でするぐらいなら俺としてほしいということでもなかった。
単純に、砂月は那月のことをどういう対象として見ているのかと、そのことだけが気になった。
このまま風呂場に乗り込んで問いただしたい。
でも、そんな勇気は今は持てなくて、俺は逃げるように布団に篭った。
制服のままだとか、テレビを付けっぱなしだとか、そんなことはどうでもよくて、ただこの時間が早く過ぎ去ってくれるのをじっと待つ。
逃げる途中でソファにぶつけた脛がじんじんと痛み、摩ってやると幾分かマシになったような気がする。
痛みで頭がいっぱいになっていれば良かったのに、目を瞑ると、記憶の中の砂月の顔が浮んできて、好きだと囁く砂月の声が響いてきた。
指で耳を塞いで、目を開けると今度は那月の顔が浮んでくる。
砂月が言った「気持ちいいか?」という問いに艶めいた声音で返事をする、いやらしい那月の顔が容易に想像できて、心臓が跳ね上がった。
「…う…そ、だろ…」
下腹部が熱い。
何も考えるな、そう言い聞かせようとすればするほど、頭の中で那月と砂月がセックスしている妄想が膨らんできて、どうしようもなくなってしまう。
那月も砂月も好きだ。でも、なんで俺…そんな妄想…してこんな…。
ズボンの上から持ち上がっているものをなぞるように触れば、それだけで小さく震えてくる。
だんだんと気分が高まってきて、今度は那月や砂月とセックスしている時のことを思い出して、一気に吹っ切れてしまった。
触って擦って爪を立てて、このあがってくる熱を吐き出したい。
そうして、気持ちいい気分のまま眠りに落ちてしまいたい。
だけど、那月か砂月にねだることもできる。
元々、砂月に対してアプローチするときも余裕なんてなくて、体で誘うことがほとんどだったから。
それにやっぱり一人でされるのは寂しくもあって…。
どうしよう…風呂から出てくるのを待って言ってみようか、それとも、今すぐ砂月に文句をつけに行ってやろうか。

(…ふっ……きもちいい…です……んぁ…さっちゃ……あっ…ん…)
そう脳内で響いて、俺は満足げに微笑んで自分のものを扱く手を早めた。
自分の鼓動と、那月の鼓動が交互に脈打つ感覚。少し那月の方が早く、呼吸も乱れている。
(…はぁ…あっ…あぁあ……ぁん…ん…!)
傍から見れば自慰にしかなりえないこの行為は、俺にとっては那月の鼓動も呼吸も声も鮮明で漏らすことなく直接脳内に響いてくるから、蕩けるように甘い那月とのセックスという表現が正しい。目を閉じて集中すれば那月の顔さえ、見ることが出来る。
そうなり得る最大の要因は、意思が別であるため、俺が取ろうとした行動を那月は知ることが出来ないということ。また、肌の感覚もお互い違うらしく、那月と俺の感じる箇所が違っているなど、擬似的にでも別個の人間であるという認識が強まることにある。
ただ、攻め側に回るだけの俺には肌に感じる温もりは自分のものだけで、那月という固体に触れられないことが虚しくもあった。
これを始めたきっかけが、第二次成長期ごろに生理現象による勃起を初めて経験した那月を俺が楽にさせてやって始まったことだったから、那月に表と裏を入れ替えてこうすることを提案されても断っていたし、那月とチビ――翔がセックスしてる時も感覚を切っていた。
それと同様に翔がわざとメガネを外して俺を呼んだ時、那月は俺に遠慮して感覚を切ってしまう。
那月が俺に遠慮する必要なんてない、そう思ってメガネを掛け直そうとすれば、那月は「ダメだよ」と優しく諭して、翔を愛せと言う。
気持ちは那月にしか向いていなくても、那月にそう言われれば従って、回数を重ねれば体から始まる擬似恋愛のようなものの感覚に陥っていて、気づけば翔のことが気に入っていた。
真正面にある鏡に自分の余裕のない顔が映っているのが目に入って、苦笑した。
もう那月は性欲を自分でも吐き出せるし、翔に受け入れてもらうことも出来るのに、それでも、那月とのこの時間を失いたくないことだけは間違いなくて、那月はそれに気づいているのか、自らメガネを外して俺を誘ってくる。
(あぁ……んぁ…はぁ…はぁ…ん……さっちゃ…我慢、して…る…?…ふっ…僕、もうイき…た…)
頭に響いてくる吐息混じりでねだる声に、口元が震えるほどの高揚を感じる。
(っ…悪い…那月の声を…もっと聞きたかったから…)
そう言って自分が感じる箇所と那月の感じる箇所を同時に刺激して、溜まった熱を躊躇いなく吐き出した。
(…ん…あぁああん……っ!!)
大きな声で啼く那月にほっと息を吐いて、呼吸を整える。
もっと那月としたい、もっと声を聞きたいと煽られるが、実際には触れられないことをこの1度目だけで十分すぎるほど思い知らされて続けてすることはなかった。
出しっぱなしにしていたシャワーを手に取って、頭からぬるめのお湯をかぶって、気持ちの高ぶりを冷やしていく。
(……はぁ……ん、は……さっき、翔ちゃん…)
(あぁ…声出しちまったから聞かれたかもな)
(あ、ねぇ…さっちゃん…このまま、翔ちゃんとえっちして?)
(…まだしたいなら俺は――)
引っ込む、そう言い掛けると、那月は願ってもないことを言った。
(違うんです。前から思ってたことがあって…さっちゃんが翔ちゃんとえっちしてる間、僕も感覚つなげてたらどうなるのかなって)
それを考えたことがないわけではないし、前から興味はあったことで心臓が跳ねる。
(本気か…?)
(もちろんです…!このこと翔ちゃんに話してもいいですし、内緒でもいいですよぉ)

体を洗い流して風呂から出て、濡れた体をバスタオルで大雑把にふき取り腰に巻く。
スポーツタオルを頭に被せて、那月の柔らかい髪をタオルではさんで軽く叩くように水分を飛ばしていく。
俺自身は放っておいて良くても、体は那月のものだし、今は冬だ。風邪を引かせるわけにはいかないから、洗面台の前に立ちドライヤーを手に取ると那月が急かした。
(さっちゃん、ドライヤーまでしなくていいですから、早く翔ちゃんのとこ行こう?)
(ダメだ)
そう言ってスイッチを入れると、間髪入れずに洗面所の扉が開いて、横から抱きつかれる。
突然のことでよろめいたものの、踏ん張ってなんとか耐えて、しがみつく翔を見れば、頭がぼさぼさでヘアピンの位置がずれていた。
「…そういうことは那月の時にしてやれ」
翔は普段から那月の時よりも俺には素直に抱きついてくるから、こういう時の決まり文句だ。
返答は期待せずに手で髪を梳きながら、ドライヤーを当てる。
「……お前はすぐどっか行ってしまいそうだから、この手に掴んでおきたくなる。那月もすぐ迷子になるって意味じゃ、そうだけどな」
いつもなら「なんでもない」「気にすんな」ぐらいしか返ってこないのに、ドライヤーの音で聞こえないと思ったんだろうか。
それならと、聞こえない振りをして、後頭部の髪をわしゃわしゃと乾かしていく。
猫毛で髪が細いから束ごとに乾くのは早めだが、量が多いというのはなかなかに手間取る。
洗面台の鏡に映った翔は鏡の俺をじっと見ているだけで、離れようとしない。
「邪魔だ。乾かし辛い」
顔を押し退けると、翔は頬を膨らました。
「分かった」
俺の前に回ったかと思うと、少ししゃがんで腰に巻いたバスタオルの上から俺のものをなぞるように触れて、頬を染めた顔を向けてくる。
「一人でやるぐらいなら…俺に…やらせろよ」
俺と目が合った途端、視線を逸らして伏目がちでそう言うから、触れられたところがじんと熱くなって自然と口元がつりあがる。
「お前に出来んのか?」
翔は俺が口でするのも嫌がるし、その逆も然りで無理やりさせたのが2、3ある程度だった。
「頑張る…」
翔はタオルの下に手をしのばせると、ぺたぺたと俺のものに触れて先端を咥えようと僅かに口を開ける。そこまで眺めてからドライヤーを止めて洗面台に置き、翔を横に抱き上げてやれば、小さく声を上げた翔が慌てて背中に腕を回してきて、そのままばしばしと叩かれる。
「なっ…!人がせっかく意を決して言ったのに…!」
部屋に入って目に入るのはローテーブルにぶつかったソファにそのソファの足でずれた絨毯、つけられたままのテレビだった。このぼさぼさの頭といい、風呂でのことでどんなに慌てたのかが窺える。
「暴れんな」
通りざまにローテーブルに置かれたリモコンを手に取ってテレビを消す。
そのまま翔のベッドまで行って腰を掛け、膝の上に翔を降ろす。
「で、何をしてくれんだった?その口で、言葉にして言ってみろよ」
目を細めて口角をあげれば、翔は睨みながら服の裾を伸びるほど引っ張って、今度は思い切り目を瞑って口をもごもごとさせるだけだった。
(翔ちゃん可愛すぎです〜〜!好戦的な目になったかと思えば、耳まで真っ赤にして…あ〜もう、ちゅーしたいです。さっちゃん、ちゅー)
(分かった分かった、あとでな)
えー…と不満そうな那月を放って、翔に先を促す。
「俺たちのために頑張ってくれんじゃねえの?」
「頑張る…けど…いや待て、俺たちってなんだよ。お前はお前だろ?」
「ん、あぁ…中から見ることも出来るんだよ。ただその必要がない時とセックスの時は互いに遮断してるだけで」
「はぁああ…!?見るって…詳しく説明――」
叫ぶ翔の口を俺のそれで塞いでやって、開いていた口に舌を入れれば引っ込んでいく舌を追いかけて絡めとり、吐息を漏らせば翔が小さく震えるように目を閉じる。翔の腰に手を回して、反対の手で翔の後頭部を押さえつけて、噛み付くように深く口腔を貪る。翔の眉間には浅い皺が刻まれ、上の歯列をなぞってやれば、翔の体の力が抜けて目尻に涙が滲んできた。離れ際に柔らかい唇を自分の唇で軽く挟んでやって、舐めてからリップ音を落とす。
「お前されるがままになってるだけじゃねえか。そんなんじゃ那月が気持ちよくならねえだろ?」
翔は口元をぬぐって、薄く目を開けてこっちを見る。
「だって…無理、溶ける…」
息をするたびに大きく上下する肩に、顔全体が真っ赤に染まっていてやけに艶っぽい。
(かわいい…僕は翔ちゃんが気持ちよくなってくれる方が嬉しいし、それに僕にとってキスはそれだけで幸せで頭がとろんってしちゃうから)
「いいや、那月がいいって言ってもダメだ。…手でしてくれるだけじゃねえんだろ?」
「……口でやれってそう言えばいいじゃねーか」
「お前の口から聞きてえんだよ。言葉で、声で……あぁ、泣き声でもいいんだぜ?」
最後に楽しげに言えば、翔は一瞬体をビクつかせる。
「……っ…お前が一人でやるぐらいなら、俺に…俺が……口でしてやるから…だ、けど、お前動くなよ!絶対だからな!」
「あーハイハイ。また那月が気持ちよくなかったら…どうなるか分かるよな…?」
(さっちゃん、翔ちゃんに何かしたの〜?すっごく怯えてて…かわいい…)
(別に…喉の奥に突っ込みすぎたのがトラウマになってんじゃねえの)
だとしたら、俺が口でするのを嫌がる理由にはならないが。
(あぁ〜翔ちゃんお口もちっちゃいから…)
「頑張る…つってんだろ…見てろ…」
翔はバスタオルを捲って、俺のものを手に取って一瞬たじろぐが、そっと先の方まで指を這わせると、先端まで口元を近づける。
ただその動作を見ているだけで、渇いた喉を潤すようにして溢れてくる唾液が喉を鳴らす。
キスするように柔らかい唇を押し付けて、少しだけ開いた唇が先端から側面に移動しながらちゅっちゅと吸い付く。
手は握って扱くというよりも、指でなぞるように上下に摩られて、ついさっき風呂場で自分のいいように扱いた後でのこれはもどかしすぎてたまらない。
翔の頭を押さえつけてやろうと思って手を動かすと、那月がそれを制した。
(待って、翔ちゃん頑張ってる…)
(那月がそう言うなら待ってやらなくもねえけど…)
(……ちょっとずつ、お口に咥えようしてくれてるから…)
待つ、と言っても頭だけ見てても楽しくないから、翔に指示する。
「お前、ちょっとベッドから降りろ」
ベッドに深く腰掛けていたのを浅く座りなおして、ベッドから降りた翔の腕を引っ張った。
「俺の反応見ながらやらねえから、分からねえんだろ?ちゃんとこっち見ろ」
「…恥ずかしいんだよ!お前が声で教えてくれたらいいじゃねーか」
翔は俺の脚の間に入って床に座り、1歩近づく。
「ハイハイ」
背を少し倒して、後ろに手をついて言えば、翔は持ち上がった俺のものを握って今度はちゃんと口に咥えた。
「奥まで咥えなくていい。吸って、唇と舌を使って…」
(……でも、さっちゃ…それだとさっちゃんの一番いいとこ…)
(俺、は…那月の声が聞ければそれでいい…)
翔は少し目が合うと目線を逸らして俺の顔を見ようとしない。
まだ踏み切れないのか唇で緩く刺激してくる翔は目に涙をためていて、紅潮する頬に強く煽られる。
「…もっと強く」
「ふっ……ん…」
震える唇が僅かに強く咥えるだけでは、那月の声は漏れてこない。
熱く漏れる吐息が掛かって、舌でぴちゃぴちゃと舐めてくる音ばかりが耳に届いて目を細める。
(…ぁあ……)
「吸えって」
「らって…」
涙目の瞳が揺れていて、小動物が怯えているかのようだ。
「言い訳すんな。舐めんじゃなくて抑え付けろ。手も動かせ」
「いっ…ぺんに…言うな…!」
(んぅ…)
歯が僅かに当たって那月の痛がる声が聞こえてきて、もう譲歩する気になれなかった。
「…突、きてえ…」
途端に翔が肩をびくつかせて、見上げたかと思うと頭を小さく横に振って目で訴えてくる。
怯えた目が更に俺を煽ってきて、倒していた体を起こせば翔が口から俺のものを吐き出してしまう。
「やだ…が、頑張るから…ちゃんと…気持ちよく…」
首を横に振って後退していく翔を追いかける。
「もういい。拙すぎて待ってられねえ…おい、逃げる気か?」
その一言で翔はぴたりと足を止めて、硬直する。
翔の腕を引っ張って抱き寄せ、後ろから翔のズボンの中に手をしのばせる。
ベルトは自分で外してたのかすんなりと入って、秘所に指を這わせれば、そこはまだ触ってもいないのに濡れていた。
「嫌々やっておきながら本当は興奮してたんじゃねえか」
「ち、ちが…それは……ひゃっ!」
中に指を挿れれば、途端にかくんと膝が落ちて翔が腰にすがり付いてくる。
そのまま指を増やして、小さな穴を広げるようにぐりぐりと動かす。
「あ、…いっ…あぁあ……さつ、やめ……ん…ぅう…ぁ…」
それだけで震える声で啼き始める翔の淫乱さにも、吸い付いてくる肉壁に早くも挿れたい衝動に駆られる。
(あぁ…翔ちゃんかわいい…かわいい…)
(……実際に触れてるわけじゃねえんだから、楽しくないんじゃねえか…?)
「いた…い……ぁああ……そ、…んんぁ…」
(ううん…僕は……さっちゃんみたいに上手に力を加減できなくて…翔ちゃんを強く抱けないから…)
(…こいつ、痛いぐらいの方が善がるからな…。那月は優しすぎる…)
「…イき、そ…」
「早えんだよ」
指を引き抜いて、那月のベッドに押し倒してズボンと下着を剥ぎ取る。
隠そうとする気もなく、だらしなく足を開いて、涙目の顔でじっと俺を見てくる。
「はや、く…中に」
「…煽るな」
(え、えっ…!こんな翔ちゃん初めて見た…すっごくえっちな顔してる…)
「チッ…お前、いつもただの淫乱のくせに、那月の前じゃどんな風なんだよ…」
「へ…?あっ…!?那月見てんだっけ…。つか、いつから那月はお前のこと知ってんだ?」
「那月が中学ぐらい…か?んなことはどうでもいいんだよ。…集、中しろ!」
ベッドに乗り上げて、翔の中に自分のものを一気に突き刺す。
「う、ぁああ…っ…!!」
(っぁ、あ………ぁあ…)
翔はそれだけで体を大きく反らして達してしまって、その締め付けで那月の声が頭の中で響く。
精液が飛び散って、翔の制服が白く汚れてしまう。
明日の授業…まあどうでもいいか。
ただでさえ狭い肉壁がぎゅうぎゅうと断続的に締め付けてきて顔が歪む。
無理やり引き抜いて、再度奥まで突き上げれば翔の叫びに似た声が響き渡る。
「ひゃああ…さつ、あぁあ…だめ、……っ!!」
目を見開いて、いやいやするように頭を横に振る翔を無視して、ゆっくりと律動を始める。
(ふぁ……さっちゃ…もっと…んんっ…)
次いで、那月のねだる声が脳内に響いてきて、狂喜に口元が震えてくる。
「なつ、き…声抑える、な…!」
(だって…)
そのせいで煽る要素の一つである、いやらしい水音が今日は邪魔に感じる。
那月の心がいつも以上に気持ちいいと訴えてくるのに、声を抑えてしまうから無心で翔の中を突き上げてやる。
「あっぁ……あっ…んぅ………砂月…待っ…!」
(…ああ……ぁあん…あっ……ひ…うう…しょ、ちゃの…声、聞きた…)
もう翔の顔は涙と紅潮する頬、上がる息で蕩けきっていて、交互に聞こえてくる翔と那月の声に、頭がおかしくなりそうだった。
痙攣するようにびくびくと震える翔の耳元に唇を寄せて、吐息で翔を煽ってやる。
「やっ!耳、声…ああ…ふっ俺…またイ…っ………!!」
翔はそう言うと口元を押さえたまま、声を殺して達してしまう。
(ひゃあぁぁあん…っ!!)
「う、っく…お前…」
その衝動で俺まで翔の中に熱を吐き出してしまった。
「…締め過、ぎ…なんだよ」
翔も俺も2回目だというのに、萎えるどころか形どったままで芯が残っている。
翔の制服を捲り上げれば、翔の汗と精液が肌に滑り落ちてくる。
「はぁ…はぁ……ん、熱…脱ぐ…」
乱雑に翔が服を脱ぎ捨てて、首に腕を回してくる。
白い肌が赤く染まっていて、桜色の胸に唇を這わせれば、翔が頭を抱きこんでくる。
(那月、平気か…?)
芯を帯びている胸の先端を唇で挟んで、先を擦り舐めてやると、翔は胸を反らして伏せた瞳を震わせて唇をかみ締める。
俺は何もかも吹っ切ったかのような淫乱な翔ばかりを見てるから、こういう翔の堪えようとするところが強く俺を煽ってくるのだと翔は知らない。だから、嫌がることをさせたくなって、したくなる。
(……ど、して…?大丈夫だよ?…翔ちゃんかわいい…だいすき……)
那月が嬉しそうなのには間違いないけど、どことなく沈んでいる気がする。
感覚を繋いでいると薄っすらでも感情が伝わってくるから、なんとなく分かってしまう。
「やっぱ…お前、泣かす…」
低く呟いて、翔の中から自分のものを引き抜く。
「っ…!?」
吐き出したばかりの精液が垂れている翔のものを掴んで、雄臭のするそれを口に含める。
「やめ…!!ひぁっ!!」
暴れる足を押さえて、吸ってやれば、体がびくんと跳ね上がる。
「ぁぁあ……いやだ、砂月…!」
翔が好きなところと、那月の好きなところは似てるからやりやすい。
先の窪みに舌を押し付けて、唇で先の頭を強く挟んで緩急をつけて刺激する。
「んんぅぁあ…おねが…!!…やだって…!ぁ、ああっ…」
(翔ちゃん…気持ちよさそうなのにどうして…?)
(那月はしたことないのか…?)
(1度だけしようとしたことはあるんです…でも、翔ちゃんすごく嫌がって…)
「イく……イくから…も、」
「そんなに…離して、ほしいか?」
涙目で頭を強く縦に振る翔に、口元が緩む。
「諦めろ」
根元から指で擦り上げて、強く吸い上げてやれば、腰を浮かせて熱が放たれる。
「ぁああああ…!!」
幾分か飲み下して、口で受け損なった分が顔に飛び散った。
悲愴な表情を浮かべて唇を震わせる翔は俺の腕を掴んで引っ張るから、何かと思えば俺の頬を舐めてくる。
「あ?」
「しょ、どく…」
(か、かわいいい!!!)
1度俺のものを舐めた口で消毒なんて、普通に考えたら消毒になってない。
でも、俺の体は元々那月のものだから、そんなの関係なくて。
(…悪い、那月…嫌だったら感覚切れ)
そう告げて、翔に口付ける。
(っ…だいじょぶ…)
舌を入れれば、翔は初めとは違って自分から舌を重ね合わせて、精液を舐め取るようにキスを返してくるから、ベッドに押し付けるように深く舌を絡め返す。吐息が熱くて、頭がくらくらしそうだ。
(きもち…)
「んっ…」
キスをしながら、翔の立てた膝をゆっくりと横に倒す。
小刻みに震える足をたどって、秘所に手を滑らせれば中に吐き出した精液がそこからこぼれていて、ひくついているのが分かる。
つぷ、と指を挿れれば、翔は伏せていた目を開けて蕩けた顔で見つめてくるから、もう何度目か分からないほどに下腹部が大きく脈打つ。
「……挿れる…」
唇から離れて、もう片方の足を反対側に倒して開かせれば、自分で腰を浮かせてくるから、喉の奥が鳴る。
「は…本当にお前…煽るの好きだな。那月の前でもそうしてやれよ」
「那月は…いちいち気持ちいいかとか、どこがいいとか、聞いてくるから……恥ずかしいんだよ…」
(そうなんですよ〜真っ赤になって教えてくれるのがかわいいんです…!)
「じゃあ、俺も聞いてやるよ。これからどうして欲しいんだ?言ってみろよ」
「…!?分かってるだろ…!」
「さぁ…?」
首を傾げて冷めた目で見れば、翔は小さく唇を動かす。
「……っ中に…お前の…」
ため息を吐いて、首を横に振る。
「ダメだな。俺が聞いてもいつもと同じだ」
「は?…言ったんだから、それでいいだろ…!?」
翔が腕で顔を隠してしまうから、腕を退けて耳元で囁く。
「那月が聞いてみたらどうなる?このまま引っ込んでやろうか」
「か、かわんねえよ…!」
(ダメだよ。さっちゃん…どこに?って聞かないと!)
「ふうん…もう1回、口でしてくれるってことだったのか?」
「ち、ちが…!那月、何か言っただろ!!」
「どうかな…お前が教えてくれればいいだけだろ?言葉で、手でどこか示せよ」
「〜〜〜っ!!」
「別にいいんだぜ?もう3回も出してやったんだし、ここで止めても」
那月の言う通り、更に顔を赤く染めて顔を背けながら、秘所のところまで手を持っていく。
「こ、こ…に…お前の……ほし」
(かわ…胸がぎゅうって…しますっ…!)
「…待たせた罰だ。そこに自分の指、挿れてみろよ」
「っ……」
翔は言われたままに、ゆっくり人差し指を沈めていく。
(ぁ、ああ…さっちゃん素敵…っ!)
秘所を左右に開くようにして広げてやって、僅かに生まれた空間に、翔の指をあてがってやる。
「ほら、もう1本」
「も、やぁ…!」
言葉とは裏腹に翔のものがぐっと反り立って、興奮しているのが見て取れる。
「…今更、恥ずかしがってんじゃねえよ。あぁ、那月が見てるから?もうずっと可愛いって褒めてんぞ?」
耳元で囁いてやれば、翔は逃げるように顔を反対に背けるから、耳たぶに口付けて首筋にちゅっちゅっと吸い付く。
「翔…早くしろよ…」
「っ……うぁ……ん…はっ……あぁ…あっ砂月、もういいだろ…」
翔が2本の指を挿れたのを確認して、その上から押し込むようにして自分の指をねじ込む。
「あぁあ……いた…だめ、…いた…ぃい…から……ぁっ…あぁ、あっ!!」
ぐりぐりと翔のいいところを指で刺激すれば、びくびくと体が跳ねて高い声が漏れ出す。
(…っ翔ちゃん…もう本当にかわいい…)
「ここ、だろ…?1人ですることあったら覚えとけよ?」
「しねえ…し…!!はっ…あぁああっ…」
「どうだか…1人でやってるときに後ろがうずいて、よく那月にねだってるじゃねえか」
「んぅ…うっせ……もう抜……早く、お前の…挿れ…」
翔の指ごと引き抜けば、翔が体を後ろに倒して息を大きく吐く。
その緩んだ気の隙にもう限界だった自分のそれを翔の中にねじ込む。
「やぁあああ…っ!!!」
翔が達して締め付けてくるのをなんとか堪えて、息を吐く間もなく、腰を動かして翔の中を犯していく。
翔の中はとろとろで滑りがよく、水音と腰を打ち付ける音が響いて、耳に痛いほどだ。
(さ……僕、ぼく…も、イきた…さっちゃ…あぁあ…ぅああ!)
(ダ、メだ…)
指で届かないところにある、翔の性感帯を強く突き上げてやれば、翔の喉の奥からは掠れた声が漏れてくる。
「……ぁ……っ……あ……う…」
背筋を力いっぱい反らして、口を開きっぱなしにして浅く呼吸を繰り返している。
(あぁ…はっ…あ……あぁあ…ぁん…おねが、さっちゃ…いじわる…しなっああ…ん…!)
再度、翔の緩く持ち上がっているものに触れて、手でも刺激してやる。
「…さつ……ぁ…っ…おかし、くな……も…」
「限、界…っく」
(あっあぁああ…!はぁ、はっ…あ、…っぁ)
そのまま中に吐き出せば、同じタイミングで那月が声を上げる。
熱く吸い付いてくる肉壁から伝わってくる翔の脈と、自分と那月のそれぞれの鼓動がどくどくと鳴っている。
翔のものを指で強く扱けば、あっさりと達してしまった翔は小さく声を漏らしただけで、あまり量は出なかった。
「ひぅ…!!」
「…あぁ…お前、5回目?やりすぎか…」
久しぶりだったわけでもないから、そんなに溜まっていなかったはずだ。
「…6…かい、め…」
ぐったりした翔が小さな声で言って、笑うしかなかった。
「くくっ…どこが1人でしねえんだよ。やってんじゃねえか…この淫乱」
「うるせ…もう動けね…寝る…」
「……チッ」
翔の中から自分のものを引き抜いて、隣に寝転ぶ。
汗と精液が酷くてもう一度シャワーを浴びたいが、動きたくない。
(僕も、ふわふわする…)
(その前に…那月、力の加減を覚えてやれ…そうしたら、俺にねだってくるのも減る)
(でも…)
(いいから、そうしろ。それに、お前が怯えるほどそんな簡単に裂けねえから)
(ううん…違うの……すっごく気持ちよくて…幸せだったから……また3人でしたいなって…)
(……いつか、な…)
幸せ、だなんて、俺の方だ。こんなに幸せでいいのかと思った。
那月とするセックスが、翔を介することによってよりリアルなものになって、虚しさも感じない。
ただ、翔が俺と那月とで違う反応をするらしいことが嫌だった。
翔が俺に必死に縋り付いてくるのは、俺が那月の影だと主張して、いつか消えることをほのめかしたからだろう。
俺が居るせいで関係がややこしくなるなら…俺は…。
(…ダメだよ…?)
感覚を切っていないことに気づいて、はっとする。
(消えちゃうなんて僕が許さないから…。僕にも翔ちゃんにもさっちゃんが必要なんです…それを忘れないで…)
(那月が…いや、なんでもない…)
ベッドの横から寝転ぶ形だった翔の体をちゃんとベッドに寝かせて布団をかぶせてやれば、翔に腕を掴まれる。
「どこ、行くんだよ…」
「…お前の服を洗濯機に放り込んで来てやるんだよ、ありがたく思え」
「……さんきゅ…戻って来いよ。朝は寒くなんだから…」
「あぁ…」
俺のせいでその幸せが壊れるなら、いつでも消えられる。
そう思うぐらいには――…。

結局、砂月に那月のことをどう思っているのか聞けなかった。
それどころか、那月が砂月のことを中学から知っていることも、中から見ることも出来るなんて知って混乱してたし、セックスで頭がいっぱいになっててそんなことを聞く余裕もなかった。
ベッドに戻ってきた砂月の腕に擦り寄れば、腕枕なんかしてくるから睨みつける。
「…俺も男なんだけど」
「嫌っつーほど知ってる」
「…嫌って…お前は俺が女だった方がよかったとかそういう…」
「あぁ?勘違いしてんじゃねえよ。男だとか女だとか、んなことはどうでもいい。那月が好きなやつ、それだけで十分だろうが」
「……っお前は…どう、なんだよ…俺…のこと…」
しどろもどろになって聞けば、砂月は口角を上げて顔を寄せてくる。
「…気に入ってる」
そう言って、鼻先にキスして離れていく。
なんか今はもうそれだけで十分かな、って気になってくるから不思議だ。
赤くなる頬を隠すように砂月の胸に顔を埋める。
それにまだ俺のことをちゃんとした「好き」じゃないのなら、これまで通り好きになってもらおうと頑張ればいい話だから。

fin.



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3月に書いたお蔵入り小説を読み返してて、続きが書きたくなりました。
そして、わけが分からなくなりました。801、yes!
久々のえろは楽しかった。
執筆2012/06/23〜26