那翔前提、翔那。801。
なっちゃんが天使のふたなりで、翔ちゃんは1人暮らしの学生。ちらっとワイルドなっちゃん(?)が出てきます。
※妊娠ネタ有でリバりかけるので、もうほんと何でも大丈夫な人向け。ファンタジーパラレル。
大丈夫な方のみ、ご覧ください。
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「翔ちゃん、天使って一般的には男性って思っている人が多いんですが、実はそうじゃなくて両性具有なんです!」
「っ……知ってる」
人のものを楽しそうな顔で扱きながら、この天使は何を言い出すかと思えば。
さっきまでテレビを見ていたくせにいきなりベッドに乗ってきて、俺が読んでいた雑誌を放り投げて、無理やりズボンごと下着を剥いできてこれだ。
もう、那月とは何度もセックスをしてるのだから、両性具有…つまり、ぱっと見大柄で男に見える那月に男性器だけでなく女性器があることは知っている。ただ、残念ながら胸は男のそれと同じで膨らみはちっともないし、俺はいつも那月に挿れられる側だから、俺が口でしてるときに愛液が垂れてきて可愛いなあって思うぐらいで、あまり意識したこともなかった。
「この意味が分かりますか?」
「ワカリマセン」
「僕、翔ちゃんの赤ちゃん産みたいです!…あ、おっきくなった」
かわいい、と言いながら俺のものに口付けてくる那月の頭を押し退ける。
「黙れ、この小悪魔!」
「天使だよぉ!ねえ、僕と、翔ちゃんの赤ちゃん欲しくない?」
満面の笑みを浮かべて、まさに天使といった顔で何を言ってんだこいつ。
「うっ……ちょっと、待て。先に扱くのをやめろ」
ええと…?
上がってくる熱を押さえ込もうと遠くを見て気を剃らしながら、那月が見ていたテレビの内容を思い出す。
そう、『生物誕生の神秘』だか、そんな感じの番組名…。
最近だとパンダの赤ちゃんが生まれて話題になっていたから、そんな特集が4週に渡って組まれていた。
ぽんって生まれてくるあんな小さいのがスポイトみたいなのでミルクを飲んでるところや、ごろごろと転がりながら滑り台を降りてくる姿におおおお、と歓声を上げたのは記憶に新しい。
そんで、「今日はパンダさんじゃないんですねえ」なんて聞いたのも覚えている。
後は何だっけ…。
あぁ、俺が「ふぅん、今日は人間なんだ?」って、番組のテロップを見ながら呟いたんだった。
「――翔ちゃん?」
名前を呼ばれてはっとした瞬間、体が勝手にびくついて扱かれてたんだ、と慌てて那月の手を掴んだ。
「ん、……だから、手離せってば…」
セックスは気持ちいいから好きだ。
だけど、那月が今したがってることは、一つ返事でしていいことじゃない。
大体、パンダ特集の次に人間って、子パンダで母性本能かなんかをくすぐらせて少子化対策でも狙ってんのか?
そんなんでつられるわけないだろ、とそれにまんまとつられたらしい俺の可愛い天使が微笑んだ。
「大丈夫。僕の中で気持ちよくしてあげるから」
「そういう、ことじゃねえから…」
やっとで手を離した那月は一度、背伸びをするように大きな羽を広げて、俺を包むようにしてくる。
「どうしても、だめ?」
那月がこうするときは「僕だけを見て」と訴えてるのだと俺は勝手に解釈している。
那月は学校から帰っている途中、突然目の前に空から落ちてきた――天使だ。
可愛いという意味で天使というわけではなく、いや、可愛いけど――実際に背中から白い羽が生えている。
見つけたときはそれに驚きつつも、精巧な作り物だと思っていたし、病院は嫌だというから、落ちた衝撃で怪我をしているのをなんとか家に連れ帰って手当てした。
それほど大きな怪我ではなかったけど、服についた血で布団が汚れたら嫌だからと着替えさせようとして、背中から直接羽が生えているのを見てしまえば、あぁ、夢でも見てんだなって現実逃避した。
那月をベッドに放置したまま、床で眠っていると大きな音がして飛び起きたら、那月が飛ぼうとして頭を打って痛がっていた。
狭いボロアパートでは広げた羽で色々と物を落として、結構な惨状になっていたけど思わず笑ってしまった。
俺に気づいた那月がふわっと笑顔になって、「助けてくれてありがとう」と、小さく羽を広げて紡がれた言葉に、曖昧に返事をしたら、教えてもいない名前を呼ばれた。
「翔ちゃんのこと、ずっと、ずっと、天界から見ていたんです。あの、…ええと…うーん、理由は教えられないんですけど、僕をこのお家に置いてください」
常識を逸していることに戸惑いつつも、仮に天使だとするなら俺の元に来た理由に薄っすらと心当たりがあったのと、純粋な好奇心で一緒に暮らすようになったのが始まりだった。
じっと見つめてくる那月から視線を外して、黒い羽に触れれば、引っ込むように揺れる。
俺の家で住むようになった当初は白かったその羽が、ところどころ黒い羽に変わっている。
その代わりなのか何なのか分からないけど、俺の持病がよくなっていると医者が驚いていた。
そう長くは持たないと幼い頃から言われていたから、俺は天からの迎えが来たんだと思っていただけに、嬉しい反面この状況に不安を感じながら、すでに半年もの時が経過していた。
「俺だってバカじゃない。お前が心配なんだよ」
黒い羽が生え始めた頃、那月は高熱を出した。
市販の解熱剤はなかなか効かず、羽を消す力が弱まっていたから病院に連れて行けなくて、医学生の薫に見せても検査しないと分からないと言われるだけだった。
那月は「天界に帰れば元に戻るよ」なんて言いながら、戻ろうとはしなくて、そのままなし崩しに事に及ぶようになった。
那月の瞳が僅かに鋭くなって顎を掴んでくる。
「心配する必要なんかない。お前はただ下で啼きながら、俺の中に出せばいいだけだ」
高熱自体は大事には至らなかったけど、あれから那月はこんな風に豹変するようになった。
初めは別人にしか思えなかったけど、俺との思い出もちゃんと覚えているし、元に戻ってもその間に何があったのかも覚えているのと、何度も「俺は那月だ」と訴えるから、そう認識している。
「……あのさ、言ってることおかしいから。せめて恥じらえよ」
俺の言葉に鼻で笑った那月が自分のものを取り出して掴み上げると、そのすぐ後ろに手を忍ばせた。
ゆっくり正座するように腰を下ろして、折った膝を開いて膣を見せるように指で広げたまま、腰を浮かして上体を反らした。
思わず、釘付けになっている俺に那月がにやりと笑う。
「お前、これ見てヤる気にならねえなら男じゃねえぞ」
カッと顔が熱くなるのがわかって、慌てて反応している自身と那月の露な姿を隠すように布団を被せる。
そんなこと言われたってヤりたくならないわけがないし、いくら子どもが欲しいって言われて嬉しくても、俺は親に養ってもらってるしがない学生で生活力がなかった。
今からバイトしてどうにかなるものでもないし、きちんと手順を踏んで準備するのが筋ってもんだろう。
そもそも、両性具有を詳しくは知らないけど、妊娠って出来るもんなのか?
つーか、見た目は人間でも、天使だし関係ないとか?
はっ…!天使とのハーフってことは、俺の子にも羽が生える?
那月との子ってだけで幻覚で見えそうなのに、マジで天使なわけ?やべぇ、すげえ見たい。
初めはまともに考えていたはずなのに、何をどう間違ったのか好奇心が上回った。
あぁ、最悪だ。俺はダメな親になってしまう。
パン、と頬を叩いてもう一度、冷静に思考を巡らす。
俯きながら布団をきつく握っていると、黙る俺に痺れを切らしたのか顔を上げさせられる。
那月はさっきまで俺に向けていた挑発的な顔をしてはいなかった。
悲しそうな顔でもなく、窺い見るような顔でもない。ましてや、普段の緩みきったふにゃふにゃした顔でもない。男を思わせる強い眼差しを帯びた凛とした顔。
那月は何も言わなかったけど、真剣なんだと、腰を抱き寄せる。
好奇心が上回ったまま、考えがまとまらなかったわけじゃない。
ただ、ごちゃごちゃと考えるのを止めた。
「……分かった。羽消せ。俺がやる」
そのまま那月に口付ければ、長い睫が瞬いて、ゆっくりと伏せられる。
背中の羽が閉じるように揺れて、フッと消えた。
「んっ…」
早くなる鼓動が落ち着かなくて、それを紛らわすように何度も角度を変えて唇を重ねる。
口付けながら那月の体を押し倒せば、小さなベッドが軋んだ。
ワンルームしかないこの部屋にベッドなんて邪魔でしかないけど、この軋む音にどうしようもなく熱が上がるのを感じて好きだった。
いつも那月が俺にするように、服の下に手を滑らせる。
それほど筋肉のついていない柔らかな胸を指先で撫でると、ぴくりと那月の体が反応するから、胸の先端に触れた。くにくにと指で挟んでみると、喉の奥で啼くように声にならない吐息が小さく聞こえてくる。
ちゅっと音を立てて唇から離れれば、那月の薄い唇が僅かに動いた。
「しょちゃ…」
艶っぽく誘うように名前を呼ばれることはあるけど、いつものそれとは違っていて、震える声で薄く覗く瞳で見つめられると愛らしくて、ずく、と下腹部が疼いた。
ほぼキスしかしてないのに、もう堪えられそうになくて自分でかけた布団を剥ぐ。
膝を立てる那月の片足を横に倒して、那月の持ち上がっているものを緩く扱きながら、空いた手で奥へと指を這わせる。
「ぁ……ん…」
とろりと溢れる蜜に、唾をごくりと飲み込んで、余裕もなく那月の太ももを掴んだところで手が止まった。
……そうだ。俺にはこっち側の経験がないんだった。
「優しく、なんて俺にはわかんねえけど、ゆっくりするから…痛かったら言えよ」
「だいじょ…ぶ…」
震える声で体で頷くから、重ねるだけのキスを送った。
うっとりと熱い瞳が見つめてきて、頬を撫でれば、那月がほんのりと頬を染めて視線を逸らした。
恍惚とした表情で赤くなることはあっても、純粋に照れている那月が珍しくて、つられるように顔が熱くなる。
逸る気持ちをどうにかしようと、息を吐いた。
「……やっぱり、僕が自分で…」
それって、つまり、自分で挿れる方が恥ずかしくないってことか?
那月は普通にしてても「どこが気持ちいい?可愛い声、出ちゃうとこ教えて?」とか「もっとおねだりしてくれなきゃ嫌です!」とかなんとか言われて恥ずかしいのに、騎乗位はそれ以上に饒舌になるから俺は好きじゃなかった。
思い出してると流される、と軽く頭を振って、起きようとする那月をベッドに倒す。
「俺がやる、つったろ。大人しく抱かれとけ」
太ももに手をかければ、那月が自分の服を口元に当てて、聞き取れるぎりぎりの声で呟いた。
「……ちょっと、恥ずかしい…ね…」
潤んだ瞳を伏せた那月から先走りが零れてくる。
「っ……可愛いすぎ」
俺だっていつも、今も恥ずかしいんだよ、と言いたくなるのを堪えて、先走りが垂れる自分のものを淫らに濡らしてひくつく膣に沈めていく。
那月の中は滑りがよさそうで一気に入っていくかと思ったそこは狭くて熱くて、肉壁をかき分けていく感覚だけで達してしまいそうだった。
「っぁああ…」
声を小さく漏らしながら体を震わせる那月のものから、とろとろと溢れ出すそれに触れる。
「ひゃあっ……一緒、に…触っちゃ、だめっ…!」
びくんと跳ねる体が中を締め付けてきて、あぁ、いつも那月はこれに堪えてんのかと、歪みそうな顔から薄く笑みがこぼれた。
「お前、いっつも、俺が嫌だっつっても聞かねえよな?」
言いながら、ゆっくりと腰を動かして奥まで進む。
「や、翔ちゃん……ぁっんぁ…!」
にやりと笑って「お返しだ」と、先端をぐりぐりと刺激すれば、手を伸ばして起こしかけた体を反らしながら那月のものから熱が放たれる。
「ぁあん…っ!!」
「ぅぁ…っ!」
うねるように吸い付いてくるから我慢なんて飛んでしまった。
更に熱くなる中が搾り取るように纏わりついて、那月の大きな手で包まれるよりも密着度の高い幸福というものが、抱かれているときとそう変わらない感覚だった。
色々と問題はあった。
ヤる前なんて、大事を取ってゴムを使った上で外に出した方がいいのか、そもそも、那月が月経になっているのを見たことないのに本当に子どもを身篭れる体なのか、例え出来たとして養っていけるのか、どう親に説明するのか、そんな考えが頭をぐるぐると巡っていた。
そして、考えるのを止めたとき、好奇心から来るものだけじゃなくて、那月と幸せに暮らしている想像ができてしまった。
たった、それだけで十分だったんだ。
幼児向けのテレビアニメを楽しそうに体を揺らして見ている那月をベッドから眺める。
普段となんら変わらない光景だけど、前とは確実に違っていることがある。
緩くカールがかった那月の髪が肩にかかるほど伸び、それをサイドで1つに結んでいる那月のうなじから肩にかけてのライン。大柄でがっしりとしていたはずの那月の体つきが柔らかく丸くなっている。
つい後ろから抱きしめたくなるのをぐっと我慢する。
だって、身長が変わらないせいで、俺が後ろから抱きしめたって不恰好になるだけだから。
何度か那月を抱くうちに、那月は一段と女っぽくなった。
分かりやすく言えば、体つきだけじゃなく乳房が出始めたのだ。
その急激な変化で、妊娠したのだと察するには容易かった。
でも、那月からそういう話は聞いていないし、前と変わらずセックスをしたがる。
「翔ちゃん、僕のおっぱい吸って?」
そう、こんな風に俺をベッドに押し倒しながら、自分で服を捲ってまだ小さな胸を俺の胸に擦り付けてくる。
意図してない妊娠だったとしたら、相手に告げるのが怖かったり、伝える前に別れ話を持ち出されたり、勝手に下ろされたり、なんて話を聞かなくもない。
つっても、昼ドラの見過ぎと言われれば、そうともいうが…。
ピンク色の乳首にちらちらと視線が行ってしまうのを何とか那月の顔に戻しながら、体を起こす。
ごくり、と息を呑んで、大事に仕舞っていた言葉を口にする。
「……結婚、しようぜ」
婚姻届なんか出せなくても、俺は結婚してるんだって実感したい。
「はぁい!」
間髪入れずにぴんと手を伸ばして返事をする那月は明らかに幼児向けの番組に影響されていて、無性に守ってやりたいと思った。
それにしても、内縁の妻って、いよいよ昼ドラっぽいな。
そんなことを思いながら、捲れたまま露になっている那月の胸に触れて、唇に口付ける。
「んっ…」
小ぶりな胸を優しく揉んでいると、ここしばらく見ていなかった天使の羽が現れた。
羽を出したまま仰向けになると痛がるから、これでは押し倒せない。
「羽、消せよ」
「ううん。これからは僕が翔ちゃんに挿れる、から…」
「……俺に?」
「そうだよ。ちゃんと気持ちよくしてあげるね」
とん、と後ろに押されて跳ねるベッドに体が僅かに浮き上がって、ぼすんと落ちた。
初めて那月に挿れたときから、つい先週まで俺が挿れてたのに何でいきなり。
いつも蕩けそうな顔をして、声も漏らしてたけど、気持ちよくって。
「え、あ…?もしかして、今まであんまり気持ちよくなかったとか…」
口走ったあとに一気に顔が赤くなるのを感じて居たたまれなくなっていると、那月は微笑んで首を横に振った。
「違うの、違うんだけど…あの、あのね……僕、赤ちゃ――」
あれ、おかしいな。
覚悟してたのにさ、何でこんなぼろぼろ。
羽を広げたまま、勢いよく抱きしめてくる。
久しぶりに見た大きな羽は前よりも黒い羽を増やしていて、余計な不安まで煽ってくる。
「かわい…だいすき」
でも、その一言で色んな不安が嘘みたいに消えてしまった。
「…ばかじゃね…の……こんなときまでヤろうとすんな」
腕で涙を拭っていると、にこにこと人の股間をまさぐって秘所に指を突っ込んでくる。
「ひっ…!」
「ふふっ、便利、でしょう?」
ちゅっと額にキスしてきたかと思うと、額をくっつけて囁くから、次から次に声が溢れ出した。
…――いつだって好きなだけ、愛し合えるよ。
fin.
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姉に「天使天使ってどんだけw」って言われて、無意識のうちに自分が「なっちゃん天使」と連呼していたことに気づく程度には口癖になっているらしく、もういっそのことなっちゃんが天使の話を書けばいいんじゃね?ってなりました。
そういえば、天使って両性具有だったよな…?という記憶から…こんな無茶なファンタジーにw
行き詰った砂翔の息抜きに書いたので、この話はここで完結ということで一つ。
執筆2012/09/02〜05