番外編 確かな証

「っ…さっちゃ、早く…」
「まだ挿れてやんねえ。それとも、そろそろ教えてくれんのか?」
那月から零れ落ちる汗がお腹まで伝ってきて、それを下から舐め上げながら赤く腫れるまで舐めた胸の先端を再び口に含める。
「ぁっ、ん……あ、だめっ…!」
「……あんまり焦らしてると翔が来ちまうぞ?」
グアムから帰ってきてから、那月とセックスしようとするたびに翔が乱入してきて2人でするどころではなかった。
流石に大学を休み過ぎたのもあって、昼間は講義に出ていたし、今は翔が風呂に入ってるから、那月の部屋の天蓋付きベッドの黄色いカーテンを閉めて、気になっていたことを聞きだそうとしていた。
「早く吐いちまえよ。俺の下着をどう使ってたんだ?ん?」
言えば、那月のものがびくびくと震えて先走りが次から次に溢れてくる。
羞恥心もあるのだろうが、俺が目の前にいるだけで電話ではここまではならない那月に強く煽られる。
胸の先端を噛むことはせず、ただ舐めてやって達する力は与えない。
涙目でじっと見てくる那月が自分の指に口付ける。
「…しょちゃ、来たら、さっちゃ……んっ、…そっち挿れちゃうでしょ…?僕に挿れたくないの…?」
挿れたいに決まってる。
「翔は関係ねえよ。教えてくれたら、挿れてやるって言ったろ…?それに電話じゃ教えない、つったのお前じゃねえか」
翔に乱入されたくなかったら、外や鍵付きの防音室ですればいいだけの話だが、俺は那月の部屋でするのが好きだった。かと言ってわざわざ那月の部屋に鍵をつけようとは思わないのは、翔が嫉妬するからだ。
「…うう、さっちゃんのいじわる!」
那月は睨みつけているつもりなのか、頬を膨らませるが、変わらず目を逸らさないのがまた可愛らしい。
「分かった。先に出してやるから」
観念したという風に、胸から離れて那月のものにそっと触れる。
「…っぁ、ああ…!やだっ!ん…、やだぁ…」
上体を下げて、那月の先走りを舌で舐め取れば、とろとろと先走りを滴らせる。
「ぁ、あっ……どうして、…さっちゃ…」
「先に出してやる、ってだけだろ?」
隠すこともせず、開くように左右に倒した足が小刻みに跳ねている。
「も、分か、ってるでしょぉ…」
那月は俺と一緒にイきたがるからそうしてやることの方が多いけど、たまには意地悪したくなることもある。
それに俺の下着をどう使ってたかなんて、舐めたり匂いを嗅いだりしてたんだろうな、ということぐらいは想像がついているから、言ってしまえばただの口実だ。
「じゃあ、染みがついたやつ、どこやったんだ?捨てたのか?」
「捨ててな――あ、…知らないっ!」
「ふうん…下着で扱いてたとき随分と善がってたし再現してみせろよ」
膝までずり下がっていた下着をズボンごと脱いで、那月のものを包もうとしたら那月がそれを掠め取った。
那月を見れば、それを口元に当てて小さく言った。
「僕、は…さっちゃの、手のがいいって言ったもん…」
涙目で震える唇で紡がれた言葉があまりに扇情的で、心臓が大きく跳ねて、溢れてくる唾液が喉を鳴らす。
「……あぁ、もう我慢できねえ…那月、腰」
言えば、那月は震える体で広げた足を自分から浮かせて、秘所を見せるように自分で膝の裏を掴む。恥ずかしそうに瞳を潤ませて口には俺の下着を咥えているのだから、たまらなく唆られるが、声を殺してしまうのが気になった。
那月から垂れる先走りを掬い取れば、びくんと跳ねる腰に小さく唸る声。
それで滑りを良くしようかと思ったが、那月の足の間に顔を埋めて、先走りが垂れかかっている袋に口付けた。
そのまま、更に下がって粘液で濡れるピンク色の秘所に舌を這わせれば、そこが引っ込むようにひくついた。
抵抗もせずに、体を跳ねさせて鼻から抜けるような吐息を漏らす那月に誘われるように、唾液を絡めた舌を中に押し込む。
入り口を擦るように出し入れしながら、那月を見やれば咥えていた俺の下着が鎖骨の辺りに落ちた。
声が聞ける、と秘所にキスを落とす。
「やんっ……っさっちゃ、慣らさなくていいから…!僕、も、出ちゃう…!」
「久しぶりなんだから慣らさないと痛いだろ?…それに、俺が舐めたいだけだ」
「うう…痛、くてもいいからぁ…」
「…お前にそんなことするぐらいなら、翔にする」
太ももの付け根から袋やその周辺を丹念に舐めていく。
「ふぇ……あっ……ん…ぁ…!」
小刻みに跳ねる那月が愛しくて、付け根近くの内ももに強く吸い付いて痕を残した。
とろりとした先走りが止め処なくこぼれてきて、那月のものにちゅっと口付ける。
「…っ、あああ…!」
那月の腹筋がぴくぴくと動いて、少しの刺激で達してしまいそうだ。
水音を立てながら中に人差し指を挿れて、中指も沈めていく。
「ぁ、ぁあっ……ひぁ、そこ…」
僅かに球体に届くと、那月が目を見開いた。
唇を舐めて、上体を起こして那月のものに触れる。
那月の方にあまり飛ばないようにと先を軽く握って、そこを刺激すると同時に指の腹で撫でるように優しく前立腺を引っかいた。
「…やぁああんっ!!」
那月の手から膝が滑り落ちて、足がベッドにつくと腰を浮かせて大きく仰け反った。
勢いよく飛び出す熱が俺の手や那月の体をいやらしく汚していく。
「っ、ぁ……はぁ、…は」
びくびくと震える体が次第に降りてきて、全て出し切ると先端から手を離した。
「あーあ、あんなに嫌がってたのに先にイッちまったなァ?」
手についた精液を舐め取りながら、秘所を広げるように指を動かす。
「ぁ、ひぅ、…さっちゃ、のばかぁ…!」
那月が涙をこぼすから、口角を上げて身を屈めると那月のものを口に含めた。
「あん、ぁあ……ぁん、っうう…!」
雄臭のするそれを綺麗にしながら、口付けて手で扱けば水音が増してくる。
唇や舌で緩く刺激しながら、秘所は前立腺には触れず解すように弄っていると、那月が立てた膝を左右に倒して、跳ねる体を僅かに起こしながら髪に触れてくる。
「ぁっ、ぁ……ぁああっさっちゃ、僕に挿れて…」
…あぁ、目の前にいるのは間違いなく俺の那月だ。
突き上げたい、そんな衝動に駆られて、那月のものを強く吸い上げた。
「ひぁああっ!!」
体を跳ねさせて胸を反らしながら後ろに倒れた那月は肩を頬に寄せて、首を傾げるようにして潤んだ瞳で見つめてくる。荒い呼吸が胸を大きく上下させるから、赤くぷっくりと腫れた乳首が艶めいている。
再び溢れてきた先走りに、唇を離すと側面から口付けて頬に摺り寄せる。
「さっちゃ、の…えっち…」
那月の甘えた声も、ほとんど俺から目を逸らさない瞳も、全てをさらけ出すように見せてくる体も、俺で強く欲情する那月が愛おしくてたまらない。
那月だけじゃなく、もうずっと自分のものからも先走りが溢れていて、思わず呟いた。
「挿れるだけでイきそうだ…」
「ん、中に、出して…」
柔らかくなってきた秘所から指を引き抜いて、那月の膝を立てて太ももを押し上げた。
秘所にはちきれそうな自分のものをあてがってやれば、那月が身震いして、強い色香を漂わせて微笑んだ。
「……ちょうだい?」
「…愛、してる」
返事を与える間もなく中を突き上げれば、きつく締めつけてくる熱い肉壁に堪えきれなくて同時に熱を放ってしまう。
「んぁああ…っ!!」
「っく…」
肉壁が絞り取るように吸い付いてきて、反動で膝をついて俺まで仰け反った。
やべ、意識飛ぶ…。
それぐらい気持ちよくて動けないでいると、少し遠くからノックの音が聞こえてくる。
無視していると扉が開く音がして、那月が荒い息を整えながら慌てて俺の下着を布団の中に隠すから、喉の奥で笑う。
那月に覆いかぶさって唇に重ねるだけのキスをして、体を引き抜こうとすると那月が首を振って腕を掴んでくる。
「……人が風呂入ってるからって2人でヤッてんじゃねえよ」
翔が言いながらカーテンを開くから、それに合わせて中を突き上げた。
「ああっ………ん、…ぁ……っ!」
そのまま腰を動かしてやれば、翔が見ているというだけで声を抑えようとする那月が可愛らしくて、頭を振って零れてくる汗を払った。
「邪魔、すんなよ」
律動を繰り返しながら目を細めて言えば、翔が息を呑んだ。
「っ……ぁ、ぅあ!」
「……ちゃんと挿れてんの初めてみたけど、すげえエロいな」
「当たり前だ……AVじゃ比にならねえよ。いいから、向こう行け。邪魔だ、つったろ」
翔の顔を掴んで那月から視線を剥がせば、翔が頬を膨らませて腕を掴んでくる。
「無理、俺も入れて」
「ずっとお預け食らってんだよ。たまには我慢しろ」
「んっ…いいよぉ、3人でしよう?」
抜くなと首を横に振っていたのに、あっさりとそう言った那月は不敵に微笑んだ。
「僕が挿れるから…翔ちゃんは、後ろ、嫌いでしたよねえ?」
そういうことか、と思うと当時に起き上がった那月に体を押されて、音を立てながら引き抜けば精液などでどろどろになった自分のものが目に入る。
「…え゛?…お前、いいとか言っといてホントは怒ってんだろっ…!」
「そんなことないよぉ?」
若干、逃げ腰になる翔の腕を引っ張り込んで、ベッドに突っ伏した翔の頬に俺のものを押し付けて、風呂上りでいい匂いがする翔を雄臭で染めていく。
「翔…舐めろ」
言えば、翔は躊躇することなく俺のものを咥えるから、自然と口元がつりあがる。
那月は翔のズボンと下着をずり下ろして腰を持ち上げて膝を立たせると、自分の体についている精液を翔の秘所に塗りこんでいく。
「ゆっくりするから痛かったらごめんね?」
「んぅ……痛く、したら…砂月の噛む…」
「はっ、出来るもんならやってみろよ。もっと痛い思いするだけだぜ」
翔が肩をびくつかせて体が強張ると同時に、那月が翔の中に反り立っているそれをねじ込んだ。

ただでさえ、砂月の精液で濡れたものを咥えているから、勝手に涙が滲んでくるというのに、無遠慮に中を犯される感覚は砂月よりはマシでも、容易に体を硬直させて涙をこぼれさせた。
「…あぁ、やっぱお前、泣き顔似合うな。小動物みてえ」
そう言いながら、口角を上げる砂月の瞳が獣の色をしていて、まさに狩られる側だと思った。
那月に突き上げられる反動で体が揺さぶられて、砂月のもので喉の奥を突いてしまう。
砂月のものが大きすぎて口で咥えるのがやっとで、歯に当たっていないわけもないし、噛んだらもっと痛いなんて言われなくても分かってるから、奥に入り過ぎないように必死に体を支える。いつもみたいに頭を溶かされるんじゃないかと思うぐらい、愛撫もされていないからまだ踏ん張りは利いた。
自分の体が人形だと説明されてからは、正直痛いのでさえいいと思えてしまうほど俺に構ってほしかった。
俺は2人に愛してと言ったけど、2人は前と変わらず互いが1番だと主張する。むしろ、砂月に至っては俺ばかりを見てくれていたというのは俺の思い違いに過ぎなかったらしく、その度合いが強くなったように思う。
人形でも、俺にだってちゃんと心があるんだから、邪魔だって言われて傷つかないわけがないんだ。
「……ん…んっ…ぁ…ぅ…!」
気持ちのいいようにとか、舐め取って綺麗にするとか、そういうことも出来なくてただ口に咥えているだけでいると砂月が呟いた。
「…俺も動く」
どうするか、なんて瞬時に分かってしまって、思わず砂月のものを口から吐き出した。
「嫌だ、喉きらい…!ひゃぁん!」
ぱんと音がするほど腰を打ち付けられて、強い快楽が走って体が崩れた。
砂月のように気持ちいいところを徹底的に外しはしない那月は優しいようでいて、酷く怒っているようにも思えた。だって、気持ちいいのと痛いだけのがランダムで来るなんて、もっと気持ちよくしてと、もっとそこ突いてって思うしかなくて、拷問のように感じてしまう。
やってくる快楽と痛みに堪えようと、ベッドに顔を押し付けてシーツを握れば砂月に頭を掴まれてしまう。
顔を上げさせられて、砂月のものが眼前にやってくる。
「ぁ、あっ……砂月、やだ…!」
「お前は嫌しか言えねえのか。それでも嬉しい、ぐらい言ってみろよ?」
「……俺、それ、っ舐め…たい、けど……喉は嫌なだけだ」
「へえ…?」
精一杯言ったのに、砂月は舌なめずりすると顎を掴んで開かせてきて、喉の奥を一気に突かれて目を見開いた。口では全部納まりきらないそれがねじ込むように喉の奥に挿ってくるから、くぐもった声しか出せない。体が勝手に吐き出そうとしても、後頭部を押さえつけられて自分の意思ではどうにもならなくて涙が次から次に溢れてくる。那月も変わらず突き上げてくるから、更に奥に挿るのを手伝ってしまう。
そんな必死な俺とは反対に砂月は悦の入った声音で呟いた。
「…は、…すげえ締まる」
吐き出そうとする動作が砂月の先端や根元付近を締め付けるように刺激していて、別に動かなくてもいいんじゃないかと思うぐらい辛かった。
ただ、那月の律動が止まって、少しだけ楽になった気がしていると那月が甘ったるい声で呟いた。
「……そんなにいいなら、僕もしてあげるのに…」
「…那月にはしない」
「僕もそれぐらい出来る…!」
「出来る出来ないの問題じゃねえよ。したくないだけだ」
たぶん、砂月は那月が痛がることを基本的にしないんだろうから、その代わりに俺にやってくるんじゃないのかと思う。いい方に捉えれば、それは俺にだけしてくれるってことだから少しだけ嬉しいかも、なんて。
後頭部から砂月の手が離れて、砂月のものを僅かに引き抜く。文句を言われることもなかったから、そのまま舐めながら、手で砂月のものを握ると、上の方からリップ音が聞こえ始める。
「んん…ちゅっ…はっ、ん…」
見えなくても分かる、2人の激しいキスが頭の中で想像できて身震いした。
砂月がグアムに行く前は俺の前では遠慮してたようだったのに、帰ってきてからは俺の前でも平気でキスするようになって、俺だけを見てくれない2人に嫉妬しつつも、俺はこいつらが好きだから、そのたびにセックスしてほしくなってしまうようになっていた。
吐息だけでも、耳を犯されているような感覚になる2人の声が、俺のものから先走りをこぼさせる。
途端に、前から左胸に回ってきた砂月の手が服を捲って先端を弄ってきて、電気のような快楽が走ってくる。
温かくて大きな手で触れられているというだけで嬉しいのに、それと大きさの変わらない那月の手が腰に触れて、前に滑ってくる。
重力に逆らうように反りたったそれに触られて、2人がシンクロするように先端を指で擦り撫でてくるから体がびくんと跳ねた。
今、どんな体勢になってるんだろうと、外から傍観できるなら傍観したいぐらい、いやらしい体位になってると思ったら、これ以上ないぐらい熱が上がってくる。
ちゅくちゅくと続くリップ音と、砂月のものを舐める自分の水音が耳から頭を痺れさせ、那月と繋がっている気持ちいいところがびくびくと擦れて、3箇所からやってくる快楽が体を駆け抜ける。
もうだめだ、と砂月のものを音を立てながら吸い上げれば、乳首を強く引っかかれて、連動するように那月に強く刺激される。
直前で2人のものが中で脈打つから、なんとか砂月のものを口から離せば、緊張が緩んで堪えきれるわけもなく熱を放った。
「ぁああ…っ!!」
その衝撃で砂月のものを強く握ってしまって、2つのくぐもった声と共に、砂月の熱が俺の顔に勢いよく飛び散って、俺の中に那月の熱が吐き出された。
どくどくと鳴っている下腹部にまだ出し切れていない精液に構わず続けて刺激してくるから、敏感に反応する体のせいで声が溢れてくる。
「ぁあん、ぁぁっ…那月、んっ……あん、はっ……ぁあ…!」
中から体を引き抜かれて、体を反転させられるとやっと息がつけた気がした。
「ふふっ、かわいい…さっちゃんのいっぱい、かかってる…さっちゃんってあんまり僕には顔に出してくれなくって…」
……掛けられたいと思うお前もどうかと思うんだけど。
「失明のリスクを考えてるだけだ」
俺に躊躇なくぶっ掛けたくせに全うな答えを返している砂月に驚いていると、2人が入れ替わるように移動する。
「大丈夫だもん…」
「万が一って事もあんだろうが」
「そんなのない!」
俺が人形の体だからこそ、なんだよな?と思わないとやってられない。
精液を服で拭こうと思ったら那月が横から覆いかぶさってきて、頬ずりしてきたかと思うと頬を舐めてくる。
そうかと思えば、砂月が俺の太ももを押し上げてきて、中から那月の精液を掻き出して指に絡めると、怖いくらい挑発するような顔でそれを口に含めた。
「こんの…変態どもっ…!」
「あぁ?それで興奮してんのはどこのどいつだよ」
再び芯を帯びて持ち上がっているものに触れられて、顔が熱くて2人から顔を背ける。
「知らねっ!邪魔して悪かったな!」
「……ったく、すぐ拗ねる」
「かわいい…」
那月がつんと頬を突いてきて反応しなかったら、顔をそっちに向かされて深く口付けられる。
熱い舌が重ねられて受け入れると、砂月が耳まで顔を寄せて囁いた。
「…お前が好きだから抱いてんだってこと、忘れんなよ」
ぞくぞくして僅かに身をよじるとそのまま耳たぶにキスをされて、砂月は那月の頬にもキスをすると那月が僅かに目を見開いて微笑んだ。
ずるいぐらい好きだ。2人の1番が俺じゃなくてもいい。
キスで動く、なんて半信半疑でまだ自分で確認する気にならないけど、もしそれが本当なら俺にはここにしか居場所がないのと同じだ。俺は離れたいと思わないからいいけど、2人が俺に飽きないかということと、俺だけ歳を取らないかもしれないことが心配だと思いながら、那月の頬に触れて那月のと混ざり合った唾液を飲み込んだ。
離れていった砂月が腰に触れてきて、那月が服を首まで捲りあげると胸の先端をくりくりと撫でてくるから、頭がぼうっとして熱くなってくる。
「んっ…」
砂月の指が秘所に挿ってきて、指でぐり、と中を突かれると、強い快楽が走って体が大きく跳ねた。
「…っ……ぁ……ん…!」
キスで声が掻き消えると那月が唇から離れていって、代わりに左胸の先端に吸い付いてくる。
左はさっき砂月に弄られてたから、舐められると少し沁みてきて、甘噛みされて高い声が飛び出した。
「ひゃんっ…あ、ぁあ…、ぁん、ああん……な、さつ、待っ…うぁ…」
砂月が痛いぐらいに気持ちいいところを中から刺激してきて、首を横に振る。
「待たねえよ。いい加減、初めからねだれって言ってんだろうが」
頭が蕩けてわけが分からなくなると、素直になってるとは思うけど、こんなの、気持ち良過ぎて。
「…やらっ!また、飛んじゃう……からっ、まだ…ん……は、…ぁあん…ぁっ、あ…!」
「ふふっ、翔ちゃんは意識飛ばない日なんてないもんねえ」
「淫乱な体は大変だな?」
そんなこと言ったって、昨日だって朝まで散々弄くられて、やっと起きて風呂入って出たとこで、すぐにその感覚が蘇ってくるから。
「そこがいいって言ってみろよ。もっと、って」
那月は優しく刺激してくれる方が多いから、そこが好きだって言いやすいけど、砂月はもう痛い方が上回るんじゃないかと思うほど強い快楽がやってくるからそんなこと言っていられない。
「ぁぅ、……んぁ…砂月、優しくして……ひぁっ…!」
「するわけねえだろ」
「ぁああぁあ…っ!!」
先走りがこぼれる先端と同時に中をぐりと刺激してきて、那月が音を立てながら胸の先端を強く吸い上げてくるから、呆気なく熱を吐き出した。
腰を浮かせて熱を出し切れば、余韻に浸る暇も与えてくれなくて、那月がお腹に飛び散った精液を撫でてくる。
そして、胸から離れると、今度は熱を吐き出したばかりの敏感な俺のものに口付けて、そのまま砂月の指と一緒に舌で舐めて緩く刺激してくる。
「っは、ぁあぁ…待っ……あっ、ぁ…!」
「体だけ素直でもいいことなんかねえって教えてやるよ」
砂月が薄く笑って、屈んだかと思うと那月と2人で俺のものに口付けてくる。
ぴちゃぴちゃと音を立ててきて、舌だけじゃなくて熱くて荒い吐息が掛かるだけでもぐっと反り返るようだった。

首を横に振ったり、腕で顔を隠したり、抵抗の素振りを見せるのも可愛いとは思うが、それを超えると翔は子どものように甘え始める。
意識が飛ぶのが嫌だと言いながら、達することが出来ない愛撫に弱く、那月とのセックスを邪魔してくるほど愛してほしいと言うのなら、初めから気分を高めろと思う。
那月と2人で翔のものを緩く舐めていると、透明感のある肌に汗や精液で汚れた翔が細い腰を浮かせて、もっとと煽ってくる。
達したばかりなのに、早くも先走りがこぼれ始める翔の先端に舌を這わせれば、那月が俺の舌に絡めてくる。
「っぁぁあ……ん、ぅぅ……ぁあ、ぁっ…!」
小さな声を漏らしながら翔が涙で濡れた瞳でこっちを見るから、そのまま翔のものを舐めながら、時折那月にキスをすると、先走りがとろとろとこぼれた。
那月が微笑んで、可愛いなぁとでも言うように先端にちゅっとキスするから、もう一度那月の唇にかぶりつくように口付けた。
「んっ…」
わざと吐息を多く含めて、翔のものに当たるようにして。
「あっ、ぁあ…やぁ……そん…なとこで……ぁ、っ…!」
那月の吐息と唾液、翔の先走りの味と匂い、震える声に眩暈がするほどの高揚を感じる。熱すぎる体と頭がぐらぐらと煮詰まって、揺れているようだ。
唇から離れれば唾液が翔のものに零れ落ちて、いやらしく光った。
「あぁあっ…ぁん……ぁっ、ぁ…!」
びくびくと震えるたびに掠れるような声に変わって、根元を指で緩く撫で上げる。
「今日は珍しく粘るじゃねえか」
人形だからか翔のものが熟れた果実のように赤く染まっていて、先から垂れてくる先走りが喉を鳴らす。
「ぁっ……ん…っ……もっ、と…緩く、して…」
「苦しくないの…?もう出ちゃいそうなのに」
「…ふ、……ぁ、そこ、舐め、られるのすき…」
言われてみると、舐めたいという衝動はあっても大体繋がったままが多くて、翔のものを口に含めた記憶はほとんどなかった。
「翔ちゃんがよく僕たちの舐めたがるのって舐めてほしかったの…?」
那月が翔のものを指でつつけば、体を震わせて呟いた。
「んぁっ……もっと舐め…」
那月と同時に翔のものに顔を寄せたせいで、額がぶつかった。
こういうとき、自然とどちらかが避けることが多いが、お互い我先に、と思っていたのかもしれない。
額を押さえる那月の手の甲にキスをすれば、那月が上目遣いで潤んだ瞳を向けてくる。
「……先に、飲んでもいい?」
那月にそんな顔で言われると、嫌だと言える方が少ないと那月は知っているから。
「っ緩くしてって……言ったばっか…」
「……煽るからだろ。いい、那月。イかせてやれ」
「やだっ…!」
「さっちゃんだいすき!」
那月が啄ばむようにキスをしてきて、嬉しそうに翔の先端を舐め上げて口付けると、指を添えてそっと口に含める。
「ひぁ…っ那月、待っ…!!」
那月が僅かに俺を見て挑発してくるから、体を丸めて上体を下げた那月の秘所へと指を這わせれば、那月の体が小さく身震いした。うっとりした表情をする那月の中に指を沈めると、翔のものを強く吸い上げた。
「…ゃぁああんっ!!」
翔が大きく仰け反ると、その反動で那月の体が僅かにしなった。
小さく唸りながら、翔の熱を飲む那月の喉仏が上下して、翔が痙攣するように体を跳ねさせる。
「は、ああ…んっ………ぁあ…!」
道具を使うのは面倒だから好きではないが、愛しい2人が目の前で絡み合っているのを眺めていると、カメラだけでも設置しようかと思うほど、見ているだけで下腹部が脈打った。
はちきれそうな自分のものに顔を歪ませて、那月の前立腺に触れれば、背筋を反らして翔のものを口から離した。
「ひゃんっ…!もう、さっちゃにもあげる…から…」
首に腕を回して、翔の精液を飲ませるようにキスをしてくるから、それを飲み下しながら那月の中から指を引き抜いて、那月の体を押し返す。
「んっ、……は、もう限界だ」
小刻みに震える翔の足に手をかければ、ぐったりとして浅く呼吸を繰り返す翔が涙に濡れた瞳で呟いた。
「ふ、…ぁ……ん…俺にも、ちゅ、して…」
言われるがままに翔の唇に自分のそれを重ねて離れれば、代わりに那月が翔に深く口付ける。
翔の太ももを押し上げて、2人の荒い吐息に急かされるように自分のものを秘所にあてがった。
いやらしくひくついて先端に吸い付いてくるそこが熱くて、電気が走ったようにぞくぞくする。
気を抜けば達してしまいそうで声を掛ける余裕もなく、ゆっくりと翔の中へと押し込む。
「んく…っ…」
跳ね上がる足を左右に広げるように掴んで、締め付けてくる肉壁に堪えるように唇を噛んだ。
那月が翔の唇から離れると、小さな声が漏れてくる。
形を取り戻しつつある翔のものに触れると同時に、那月が翔の胸に吸い付いた。
「ぁ、ぁぁっ……ぅ…ぁあ…」
もっと声を出せと先を刺激してやれば、翔の体が大きく跳ねて、強い締め付けに堪えきれなくて熱を吐き出した。
うねる中がどろどろに熱くて息を整えながら、翔のものを扱った。

繋がっているところがどくどくと脈打ってるのが伝わってきて、砂月の熱が中でごぽごぽと音を立てている。
そんな状態のまま、俺のものを扱いてくるから、自分の体じゃない気がするほど痙攣するようにびくびくと体が跳ねてしまう。
「んぁ、やっ………ぁっ、あぁ…は……ぁん、ぁあっ…!」
さっき那月がずっと舐めてきた方の胸ばかりを吸ってきて、砂月が袋にまで触れてくるから、息をつけるタイミングが全くないぐらい強い快楽が体を駆け抜ける。
「あん、ぁん…ぁあ、…はっ、ん………ひゃ…ぁっ、あっ…!!」
白くちかちかしてくる視界に目を見開いて、反対の胸にまで触れてくる那月の手を掴んだ。
3人でしてても2人は平気でキスしたり抱きついたりしてるけど、それで煽られてるのは間違いなくて遠慮なんて少しも感じられなかった。
ちゃんと言えば俺に構ってくれるし、言葉にしないでいると自分が寂しい思いをするだけだとは分かってる。
でも、気持ち良過ぎて、息が苦しくて、もう常に涙がこぼれている状態で、首を横に振るばかりだった。
「は、ぁあん…やだ、那月、那月…っ!」
砂月はあんまり言うこと聞いてくれないから、那月にお願いするしかなくて。
「…ふぁい…?きもち?」
「ぁあ、ぁっ、……んぁ、那月のも、舐めたい…」
「ダメだ。乳首吸われたくないだけだろ」
何で分かるんだよ…!
「翔ちゃんは、こっちが好きなんだよねえ…っちゅ…」
「ぁん、ああん…ひぅ……あぁ…、やらぁ…!」
あんまり自覚してなかったけど、確かに左を指で弄られたあとに吸われるとかなり気持ちいい。
弄られすぎて痛みさえ感じるし、男なのに意味が分からない快感は頭を溶かしてくる。
「っ……ぁ、あっ…なっちゃ、おねが…ひゃんっ…!」
「…あぁ、本当にかわいい…」
那月の手を掴んでいた手とは反対の手を引っ張られて、舐めさせてはくれないらしい那月のものに触れさせられる。
それでも、胸の先端を弄ってくるのは変わらなくて、びくんと跳ねるたびに力が入って握ってしまうぐらいだった。扱く力は全然ないけど、那月のものが萎えずに持ち上がっているだけでも興奮を感じる。
「やべえな…やっぱり次からカメラ回すか…」
呟くように言った砂月の一言に耳を疑った。
前の世界で、那月にセックスしているところを何度か撮られたことがあったから。
「わぁ、僕も考えてたの!ふふっ楽しみだなぁ」
発想が同じなのはやっぱり四ノ宮なのかと思うと、胸が締め付けられて涙が溢れた。
「ん、ふぁ…なつ、ん、…さ、つきも…好き……す、き……もっと、お前らを…感じさせて…」
「初めからそう言えよ」
途端に繋がったまま体を反転させられて痛みと快楽で声を上げた。
そして、那月が前に移動してくるから見上げれば、那月が微笑んだ。
「翔ちゃん、いいよ、僕の舐めて。……あ、でも、咥えちゃダメだからね?」
言われるままに頷いて先走りが垂れるそこにちゅっと口付けて舐めれば、中から砂月のものが引き抜かれて、ゆっくりと律動が始まった。
「んぅ……ちゅっ、ぁんっ……あん、ぁあっ……ふ、…きもち…ぁ、ぁっ…!」
砂月がいつもより優しく動いてくれて、擦れる感覚がくすぐったい気持ちよさだった。
流れる涙で視界はぐちゃぐちゃで、色んな水音が頭にがんがんと響いて、熱くない場所なんてどこにもなくて小さな声が止め処なく漏れてくる。
「ぅ……ぁ、あっ………ふ……ぁあ……んっ…ちゅ…」
「かわいい…もっと声聞かせて」
髪を撫でてくる那月の手が心地よくて、ぴちゃぴちゃと音を立てながら那月の根元を舐め上げる。
俺がここを舐められるのが好きなのは、愛してくれてるんだと強く実感できるからだった。
「ぁっ、…ぁん………はっぁ…だい…すき………ぁっぁあ!」
3人ですると2人でするときよりも俺を混ぜてくれるってことだけでもやっぱり嬉しくて、気持ちよくて、満たされてるって思えるから、硬く大きくなってくる砂月と、びくびく震える那月のものがいつも以上に愛しかった。
「……んっ……ぁ、あぁんっ……そ、こ、すき……ふ、ぁ…!」
本当に意識さえ飛ばなければ、もっとどろどろに溶けるほど愛してもらえるのに。
「っ……お望み通り突いてやるよ」
吐息を含めた声音で言われて、一瞬何を言われたのか分からなかったけど、中から砂月のものがぎりぎりまで引き抜かれて叫んだ。
「ぁ、だめっ、…イッちゃ――」

「っやぁああん…っ!!」
体がびくんと強く跳ねて、飛び起きた。
心臓の音が全力疾走したあとみたいに早くて、ゆっくりベッドに倒れこんだ。
……マ、ジかよ…なんだ?あの夢…。
那月と砂月が…分裂?してて、2人に犯されてるとか…。
いや、それはいいとしても、達成感というか満足感…?がすごくて動きたくない。
しばらくぼうっとしながら、夢の内容を思い出す。
那月が砂月を好き過ぎて、砂月に嫉妬して、砂月も那月を好き過ぎて、それに嫉妬してた気がする。
つーか、人の精液を口移して飲ませてんじゃねえ…!どんな羞恥プレイだよ…!
それにしても、分裂してることと、那月が砂月を好き過ぎるってこと以外はリアル過ぎるっていうか、それにここんとこたまに見たことない洋館っぽいとこでセックスしてる夢見るんだよなぁ。
何なんだろ…そんなに欲求不満なのかよ…。
息を吐いて、布団の中を覗くと、完全にヤッてしまった匂いがしてシャワーでも浴びようかとベッドから降りて、扉を開けると階段の下で眉間に皺を寄せている砂月が目に入る。
「わっ、砂月…!何で居るんだよ…!」
腰にはタオル一枚のまま、スポーツタオルで頭を拭いている。
「何でもくそもねえよ。お前がヤりたいっつって呼んだくせに1人でヤッてんじゃねえよ」
あぁ、そうだった…ここんとこずっとライブの作業に追われてて、する暇なかったんだった。
「ええと、これは、ちが…その、お前待ってるときにうたた寝してたらエロい夢を見てだな…」
「また夢精かよ。溜め過ぎ」
「う、うっせ!頭とかいいから、早くヤろうぜ。お前見てたら勃ってきたし」
「那月が風邪引くだろうが」
「それはそうだけど。あーじゃあ、乾かしながらでいいからこっち来いよ。俺が勝手にやるから」
砂月が舌打ちして階段を上がってくるから、ベッドルームに戻ってローションをベッドに放り投げた。
道具は別にいいか。
「というか、なんで那月を呼ばねえんだよ。久しぶりなんだろうが」
「那月呼んだら、ライブ終わった直後にそれネタにしてヤろうとしてくんだよ」
絶対に、我慢できなかった翔ちゃん可愛いとか、言ってくるはず。
しかも、俺が誘った日は必ずハメ撮りしてくるから性質悪い。
別に撮られること自体は嫌じゃねえけど、その次のセックスは仕事の合間にイヤホンで自分の喘ぎ声を聞かされながらトイレや楽屋で犯されるなんてことが多いから出来るだけ避けたい。
「それぐらいしてやればいいじゃねえか」
砂月がベッドに乗り上げるから、俺もベッドに乗って先に汚してしまったズボンと下着を脱ぎ捨てる。
「家ならまだいいんだよ。外で我慢できない那月が悪い」
腰に巻かれた砂月のバスタオルを捲って、砂月の先端に口付ける。
「先に我慢利かなくなったのはお前だろうが」
「うるせ!つーか、今ぐらい――」
「俺のことだけ考えろよ、か?俺には無理だって分かってんだろうが。諦めろ」
「…いつか絶対、俺の下であんあん言わせてやるからな!覚えてろよ!」
ローションを手にとって温めながら砂月の根元に垂らしていく。
「はっ、一生ありえねえな。下で喘ぐのが好きなくせに」
「ち、っげーよ!」
「ほら、声が上擦った。だから、那月が聞かせてやってんだぜ?俺たちを煽るために、どんな風に声を出してるかってな?」
そんなつもりはなくても、夢の中の俺も「なっちゃん」なんて呼んで、実際の俺も声を抑えようとしてないのには違いなくて、顔から火が出そうだった。
砂月が喉の奥で笑ったかと思うと、後ろに押し倒してくる。
「なんだ、自覚してんのか」
「違――」
言葉を塞ぐように砂月にキスされて、すぐに離れたかと思うと耳元で囁いてくる。
「俺のことだけ考えてろ」
「なっ!それは俺の台詞だっつーの!」
「40分だけ、な」
それは、セックスする僅かな時間を意味していて。
やっぱ、今日は那月ともしよう。
そう心に決めて、砂月の頬に触れれば砂月がいつもよりは少しだけ柔らかい瞳で見つめてくるから、キスを返した。

夢の記録。

本項では魂が人形に宿ったあと、人形が稀に夢を見るという話を記録したものである。
夢は人形の魂から考えて元の世界の、眠っているときと同時刻のものしか見ることが出来ない、と推測する。
昼間に眠っているときの夢では昼間、夜に眠っているときの夢では夜のことしか見れず、通常、夜に眠ることが多いために夢の内容は夢の中でもただ眠っているものが多かった、という。

***

昼間に見た夢の中で断片的に覚えている人形自身の性格の変化に着目――

「ここまでしか読めねえな」
「もう切れ端なんてないよぉ」
「性格、か。……ぐるぐる悩んで、勝手に嫉妬してるし、言葉を欲しがるとことか、すぐ泣くし…なんつーか、人形の翔は女みたいだよな…」
「でも、翔ちゃんは翔ちゃんだし…」
「…まぁ、好きなのに変わらねえか」
「はい、僕も翔ちゃんとさっちゃんがだいすきです!」
「じゃあ、アレだな。女っぽいんなら――」

次に目を覚ましたとき、体を綺麗にされていて珍しいな、と驚いていると、俺の両端で眠っている2人が俺の左手だけを握っているから何かあるのかと思ったら、銀色に光るものを指に嵌められていて。
2人の薬指にも同じものが光っていて、体温が上がってくると、2人は起きていたのか耳元でこう囁いた。

――愛してる、と。

fin.



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執筆2012/08/05〜8

お前らが居なかったら俺は動かないんだよ。動け、ないんだよ。
それってさ、この体が朽ちたとき、これからもずっと、一緒って意味なんだよな。
だからさ、例え庭までが俺の動ける範囲だったとしても、十分すぎるほど俺は……。
なぁ、那月、砂月…生かしてくれて、あんがと、って今はそれだけ、思うよ――だいすき、

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